流星群の夜に ５
再び近づいてきた唇は遊馬の頬に落ちた。
そのまま首筋をたどり、鎖骨の少し下をきつく吸う。
空いた手は遊馬の腹から滑り降り、体の中心をなで上げた。
自分以外の手が触れるのは初めての事だが、触れられてはじめて硬く立ち上がる自分自身を自覚して恥ずかしさに足を閉じようとしてしまう。
遊馬の動きに気づいた遊星に「足、開いて。」と言われ、遊馬は戸惑いを含んだ情けない顔をして足を開いた。
遊星の手が下へ滑り落ちていくのを感じて自然に体が硬くなる。
「あっひゃぁ！」
自分ですら触れたことのない場所にクリームの冷たさを感じ、遊馬は思わず声を上げた。
「あっ・・・あっあっ？！」
体の中に入ってくるのはたぶん指一本。
ゆっくりと遊馬の呼吸に合わせてくれているから痛みはない。
ないけれど未知の感覚への恐怖が声となって溢れる。
奥まで入るとぐるりと円を描くように入り口を擦られ、ぶるりと背中が震える。
女と違って、慣らさないといけないとは知識ではわかっている。
遊馬の意思に反してこわばる体に遊星の口付けが落ちる。
唇と舌が遊馬の肌を伝い、もう一方の手が胸の飾りをこねる。刺激に引きずられるように意識が分散すると、自然に体の力は抜けていった。
「んっあぁん。ふっあ、はぁ、ああっ」
気づかないうちに指が増やされ、突き入れられる圧力を遊馬が自覚する頃には、全身を満たす甘い痺れに、抑えきれない声が上がっていた。
正直、自分自身のモノを刷り上げる性感しか知らない身体に、両手と唇を使って与えられる刺激は許容の範疇を超えた。
分散される刺激に意識もまた散らばり、どれを拾い上げていいのか迷ううちに全身の熱が高まっていく。このまま弾けてしまうのではないかと思った頃に、体内の圧迫感が消えた。
「あっ・・・」
「力、抜いて・・・」
足を大きく広げられ腰を持ち上げられる。
心臓が痛いほどに早く脈打つ音が、どくどくと頭に響いた。
望んでいたものを得る喜びと、恐怖が半々に交じり合う感情があった。しかし、思わず身体の下のほうを見てしまい、湧き上がる恐怖に遊馬は目を見開いた。
まだ育ちきらない遊馬の物とは違い、大人の形と大きさを持つものが、今まさに遊馬の身体を押し開こうとしている。
無意識に押しのけようとするも、体重をかけて覆いかぶさる遊星の身体を押し返すことはできない。
「ひぁっ！やだ！こわっんぅんんん。」
恐怖の叫びは、圧迫感とそれに伴う痛みに、くぐもったうめきに変わった。
「あぐっ・・・くる、し・・・」
身体の中を深く深くえぐられる。
かき分けられた内臓が腹の中で蠢いているようにすら思えた。
「遊馬、遊馬っ・・・」
かすれた声で、名前を呼ばれた。
きつく閉じていた目を開くと、すぐ傍に吸い込まれるような瞳があった。
「キツいよな、でも、悪い、止められない。」
遊星の声は苦しげで、熱く深い息が遊馬の頬を掠めた。
頬にうっすらと昇る血の色に、潤むようにきらめく瞳に、遊星もまた遊馬を求めているのだとわかる。
湧き上がる愛しさが、遊馬の唇を振るわせた。
同時に遊星に与えられる、苦しさや痛みすら、大切なもののように思えた。
「止め、ないでっ」
遊星の広い背中を抱きしめる。
もう、恐怖はなかった。
髪にかかる遊馬の切れ切れの吐息に、遊星には今も変わらず遊馬を苛む苦痛がわかった。
１３の子供が見せる許容に、許された気になるなんて、もう大人だと思っていた自分の自制が、いかにもろかったのかと思い知らされる。
淡い光に浮かび上がる薄い肉付きの身体が、食ってくれと誘っているようだった。
今すぐ食らいつきたいのをこらえ、入り口をほぐすのが理性の限界だった。
自分の物が、この薄い体のどこに収まるのだろうかという思いは常に頭の片隅にある。けれど、熱い肉の中に飲み込まれる感覚が鮮明すぎて、嫌だと、怖いと叫ぶ声すら聞こえないふりをした。
遊馬の許しの言葉が心からのものだと証明するかのように、きつかった締め付けが緩まる。それでも狭いことに変わりはないが、これ以上傷つけないですむ。
「動いて、いいか？」
遊馬は返答の代わりに小さく頷く。
「んん、ぅん・・・」
身体を進めると、苦しげな声が漏れる。
ゆっくりと埋め込み、ゆっくりと引きずり出す。
緩慢な動きは遊馬に慣れをもたらすと同時に、遊星の理性を削り取っていく。
「っふぁ、ぁあぅん・・・」
ほころぶ唇が小さくわななき、幾分細められた瞳が揺らめく。
ちらりと覗く赤い舌が唇を舐めるのが扇情的ですらある。
「なん・・・か、へん・・・あっ！」
太ももの辺りに変に力がかかっているように、遊馬はカタカタと震えだす。
身体の一点だけで感じる快感ではなく、腹部から身体全体に広がるような感覚。
「やっあっああぁん、んぅあ！」
じんわりと視界がぼやけ、何故か涙が溢れてきているのだと遊馬は自覚した。
遊馬の変化は遊星にもわかった。
声が違う、こらえる様に浅かった息遣いが深くそれでいて早くなる。
時折痙攣のように身体が震えると、きつく目を閉じる。
眦を伝い落ちる涙は、苦痛のものではなかった。
誘われるように、自然と動きが早まる。
そうでなくても、押さえつけられていた衝動は、たがが外れる寸前だ。
「っはぁ、んっ・・・んぁぁあああ、やぁ・・・んっ」
遊馬の手が強くシーツを握り、乱れた陰影が刻まれていく。
どこを見ているとも知れない、濡れて光る瞳が瞼に隠される度に、こぼれ落ちる雫が頬を伝った。
惹かれるように、遊星はその雫を舐め取った。
塩気のあるその水が、甘く感じるのは、彼の頬の味かもしれない。
ベッドの上で跳ねる、からだ。
想像の中よりも艶やかに乱れる幼い肢体を、むさぼる罪悪感すら、甘美だった。
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ネチっこくやりすぎたエロを、こりゃないわと半分ほどに削ってもまだこんだけありました。主人公×主人公とかもう・・・どっちも魅力的すぎるキャラなんで削るのが大変。
メインカップルでもないのに熱を入れすぎと反省です。
(110620)
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