小説 | ナノ








爽やかな朝。
小鳥のさえずりだとか教会の鐘が澄んだ音を奏でるとかそんなもんは押し退けて……


「パッウリィィィィィィイ!」
「来るな破廉恥女ァァァァァア!」


ウォーターセブンでは愛の雄叫びで、一日が始まったりする。












ふぅ、と深く長くため息をつく。
恋する乙女の悩みはつきないわぁ……なんて、思っているとカクとルッチがどうしたんじゃ、なんて言ってこちらへやって来る。

「ねぇカク、パウリーって何であんなに照れ屋なの?何であんなに奥手なの?本当は私とあんなこっといっいな!こんなこっといっいな!とか考えてるのに、全然なの。何なの、本当に何なの私のダーリンってば。まぁ、そこが萌えるんですけどねっ!」
「全国的アニメ主題歌で破廉恥な事言うデリカシーの無さが原因とは思わんのか。」
「思わない。」

パウリーはどこだろう、ときょろきょろ見渡すも見つからな……あ、いた!
もういいよね〜、材木運びながら汗が流れてるのも、服をはだけさせてるのも全部さ!あ、今汗拭った!ふぅ、疲れたって顔した!どうしよう、ヤバい!燃える!すごく燃える!

「おっとヨダレが……」
「とりあえず、ちび子がヒロインという事を全パウリーファンに謝れッポー。」
「うるさい、ハットリ通してしか話せないくせに黙れ。」

もうそれはそれは舐めるように、舐め尽くすようにパウリーを見つめていれば仕事しろっ!と喝を入れられる。もちろん私のダーリンに。
怒るアナタもす・て・き、なんて言ったら何故か物凄いスピードで材木抱えてどっか行っちゃった。
なんであんなに照れ屋さんなんだろう、そこが可愛いんだけど、やっぱり物足りない。

「付き合ってもいないくせに、よくそこまで陶酔出来るもんじゃ。尊敬するわい。」
「うっさい、鼻。」
「わしのアイデンティティを馬鹿にするな馬鹿ちび子。」

でも、このままじゃまずいと思うの。
私達、進まなきゃいけない一歩ってあると思うの。
そのためにはどうしたらいいか、手を繋いだ事もないとかもうもはや論外だよね。
遠くのパウリーを物憂げに見るも、マンガみたいにそんな視線に彼が気づくわけもなく、せっせと汗を流して働く彼を見てドキドキする。

……仕方ない、もうそろそろやるか、と材木から飛びおりてぐーっと伸びをする。
あれ……?

「……いたい。」
「は?」

右足首が超絶に痛い、ちょっと動かすと痛い、力をいれたりなんかするとものすごく痛い。
うっと、しゃがみこんで裾をまくりあげて足首をみる。
あ、なんか……明らかにちょっと赤い。

「まだ仕事もしとらんのに足をくじいたと。」
「くじいてないもん。」
「嘘をつくなッポー、あほちび子。」
「ぎゃぁぁぁぁあ!つんつんすんな!痛いわ!鬼か!」

泣きながらわめけば、なんだんだと皆が集まってくる。
何やってんだよちび子ー、なんて言って笑ってる奴らにギンッと睨みをきかせると直立不動で動かなくなった。

「お前はバカか!?」
「人間バカにならなきゃならない時もあるんだよパウリー!」
「明らかに今じゃねぇだろうがっ!」

ボカっと頭を叩いてくるパウリー。
いたいっ今ひたすらに足が痛い私になんていう仕打ち!

「ったく、ほら。おぶってやるから医務室行くぞ。」
「え、いいの?」
「歩けねぇんだろ、さっさとしろ。」

そろそろとパウリーの首に腕を回すと、パウリーはそっと立ち上がり、そしてゆっくりと歩く。
あぁ、足を気遣ってくれてんだなって思うとなんだか嬉しくて照れくさくて、そのまま顔を埋めた。
汗と洗剤の匂いがした。



「お前って本当にドジだよな。」
「え、そんなことないよ。わりとしっかり者だよ。私が失敗するなんて象が空を飛ぶ位珍しい事なんだよ。」
「昨日飛んでたぞ。」
「マジでか!?スゲーなっ!何でもアリだなグランドライン!」

嘘に決まってんだろ、と湿布を私の足にまくパウリー。
スーッとする、湿布貼ったらだいぶ楽かも。
ありがとう、と言うと照れくさそうに無茶すんなよっと言われる。
ほんっとに可愛いよね、パウリーってば……本当にさ。

「……パウリーって、誰にでも優しいからさ。」

やっぱり、寂しくなることもあるんですよ。
事務の女の子が高いヒール履いたせいで足をくじいた時も同じ事してたからさ。
流石に私にも、少し堪えたわけで。寂しくなったわけで。
それで、なんかモヤモヤした。

「おい、ちび子。」
「もう五年もこんな調子だもんね、なんかもう……」

後ろにも前にも進めない距離がもどかしくて、寂しい。
そう、寂しいんだよ私はさ。パウリーに女の子として見て欲しいんだよ。
今も大切にしてもらってるから、それは嬉しいけど。
でも、やっぱり……

「……女の子としては、やっぱり違う風に見て欲しい訳ですよ。」
「……ちび子。」

私の肩にそっと手を置くパウリー、私はその手にそっと手を重ねてそして……















ベッドに向かって投げ飛ばした。
もう医務室とパウリーって足し算半端なさすぎるだろ!こう行かなくてどう行くんだよ!もうこれしかないだろ!
そうです!医務室って単語が出てから、こういう事しか考えていませんでした!
悪いですか!?いいえ、違います。私をこんなに好きにさせたパウリーが悪いんですっ!

「な、ちび子!?」
「ハーッハッハ!甘いなパウリー君!私がそんな事で落ち込む訳がないだろうっむしろ燃えるわ!さぁ私においしく頂かれろ!」





押して駄目なら押し倒せ!

「……覚悟は出来てんだろうな。」
「へ……あれ、パウ、リー?」

反転した視界、パウリーが視界いっぱいに広がる。
そうです、押し倒したら大変な事になりました。


****

第二回PPP企画^^♪

ころ汰ちゃん第二回開催ありがとうございますー^^
今回も楽しく書かせて頂きました^^
第二回開催と聞いた時は本当にテンションがあがったんだぜっ^ω^

素敵企画に参加させて頂いてありがとうございましたー^^




変態ヒロイン書いてて楽しかったという件^^
変態ヒロインでなんか連載したいなー、何にしよう←








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