話をしようよ。
私とあなた。似ているところもあるけれど、所詮は赤の他人なんだから。言葉以上に伝わるときがあったとしても、言葉にしないと分からないこともあるんだし。
「セブルスの好きなものって何?」
寝る前の、ちょっとしたリラックスタイム。ベッドで二人、並んで座る。各々好きなことをして、私は杖を磨いていた手を止めた。
「……邪魔のない時間」
意地悪な言葉と裏腹に、彼は開いていた本を閉じた。ベッドを軋ませサイドテーブルへと本を置き、私だけに意識を向けてくれる。
「他には?」
「子供のいない場所」
「他に」
「私自身」
淡々と返ってくる言葉。その中に意外なものを見つけた。聞かなければ、知ることはなかっただろう。
「あなたってナルシストだったの?」
茶化して言えば、彼は「違う」と噛みつくような顔をした。照明を落とすのは、少し照れ臭いことを言う証。ベッドサイドの灯りだけが、彼の横顔を照らしてくれる。
「他人を守るためには、まずは自分を守れねばならない。そして自分を好かねば、守ろうと思うことすら困難だろう」
「そんなことを考えてたのね」
「すべては君に繋がる」
こちらを向いたセブルスと、自然に唇が重なった。そのまま体重をかけられて、私の身体はベッドへ沈む。
「さて、次は君の番だ」
満足げに見下ろす瞳に熱が宿っていた。
「聞く気はある?」
「勿論」
瞼に、鎖骨に、手のひらに。彼の愛を受けながら、塞がれない唇で語る。
「私が好きなのは――」
またこうやって話をしよう。二人肩を寄せ合って。今日みたいな発見があるかもしれないし。お互い、
分かった顔なんてしてないでさ。
Special Thanks
you
(2019.1.21)