目が覚めると、
外は一面銀世界だった。霜とは違うふかふかの白さ。どこを見ても夜の間に降り積もった雪がキラキラと輝いていた。厚く引かれたままの雲越しに太陽が溶かさんと照りつけていたとしても、そんなものでは到底太刀打ちできない。
けれどまぁ、昨日も一昨日も一週間前ももっと前から雪は積もっていた。それなのに今日の景色だけが特別に見える。
冬休みをホグワーツで過ごす仲間たちに声をかけつつ、縺れそうな足を精一杯回転させて、階段を駆け下りた。寝室から談話室へ、談話室から大広間へ、大広間から地下へ。
目的の扉を前に笑顔の練習をして、トトトンと軽やかなノックを響かせた。
「こんな朝早くに誰――」
「スネイプ先生、あけましておめでとうございます!」
「――また来たのか。今年も騒がしい1年になる」
開いた扉から呆れ顔が覗いた。そのまま閉められることも少なくはないが、今日は幸運にも開いたまま。少々強引に中へお邪魔して、暖かな暖炉前を陣取った。
「もしかして、新年最初に会ったのは私ですか?」
「他に誰がこんな非常識な時間に訪ねて来る?」
「んー、ダンブルドア先生とか?」
「……あり得るな」
先生は深々とため息を吐いた。眉間を押すその仕草でさえ惹き付けられてしまうのだから、恋とは怖い。
ソファへ座って杖を振った先生の元へ運ばれてくるカップはいつもひとつだけ。私の分なんて用意してくれる人ではない。それでも先生は決まって――
「エバンズ、飲みたければ自分で淹れろ」
「はい!」
この時が永遠になればいい。
Special Thanks
you
(2019.1.6)