どうせ興味ないんでしょ?
私にボーイブレンドができようと、四六時中廊下の片隅で溶け合っていようと、授業中に小指を絡ませ合い意味深な目配せで会話してようと。先生はずっと先生のまま。
魔法薬学の授業が終わり、先生はやっぱり先生のままで、教卓から一番遠い私の席までを一気に詰めた。そんなことしなくても逃げやしないのに、ドンと紙束を机へ叩きつけ、唸るような声で囁く。
「ミス・エバンズ、残って薬材料棚の整理をしておけ。授業に集中していなかった罰だ」
「なら僕も!」
隣で愛しいボーイブレンドくんが声を上げた。
「君がいては罰則にならないだろう。安心したまえ、君の罰則は明日だ」
先生が杖を振れば、忽ち机上に散らかっていたものが鞄へ飛び込む。その鞄に追い立てられるようにして、彼は早々に教室から退散せざるを得なくなった。
残ったのは、私たちだけ。
「自分に相手がいないからって、生徒に当たるのは如何なものでしょう?」
「真に好意を寄せる相手が振り向かないからといって、好きでもない男を侍らすのはどうかと思うが?」
「嫉妬、してくださるんですか?」
「そんな幼稚な言動しかできない者にスリザリンを名乗られては困る」
「好きです、先生」
片眉を上げて、先生は魅力的な悪役の笑みをした。
「奇遇だな。私も好きだ――私のことが」
長い黒のローブが翻る。コツコツと駆け足で教卓へ戻ると、先生はこちらを見もせずに教室から出ていった。
残ったのは、私だけ。
手に入らないものほど惹き付けられてしまう。それが身を滅ぼすかもしれないと分かっていても。
あぁ、先生。スネイプ先生。
少しでもいいから、私にも興味をもって!
Special Thanks
you
(2019.1.5)