閉ざしていた心は
より固く閉ざされてしまった。少しずつ少しずつ時間をかけて、これ以上ないほど丁寧に解してきたのに。
「セブルス、休暇の予定なんだけど――」
「あれはなしにしてくれ。状況が変わったんだ。リリーも知ってるだろう?僕とリリーはもう……」
もう、親友には戻れない。セブルスが禁忌の言葉を吐き出して、二人は絶交。悪戯仕掛人の介入も含め噂はすぐに広まった。スリザリンでだってそういう話が好きなやつはいる。
「でもマグル生まれを理解することは、リリーとの仲直りのきっかけになるかも――」
「放っといてくれ!友達すらいない君に何が分かる!」
ブラッジャーよりきつい玉を投げ込んで、セブルスは私を置いて去ってしまった。そうなれば、スリザリンの談話室に私の居場所はない。マグル生まれの私には。寝室にも、教室にも、廊下の片隅にも、他の寮にだって。どこにもうまく馴染めずに、セブルスだけが唯一だった。
だった、のに。
彼の背中を探しさ迷った城の片隅で、こそこそとつるむ影を見つけた。どれも見覚えのある形で、私を見つければ嬉々として杖を向けてきそうなものもある。
「セブルス、あんなグリフィンドールの穢れた血とは遅かれ早かれ縁を切るつもりだった、そうだろ?」
「……あぁ」
遅れた一拍の間に込められた思いの一欠片ですらも、あの人には分からないに違いない。穢れた血と呼ばれたって焦がれてしまうものがあることも。
リリー・エバンズ。私の恋敵。
私に振りかける負のすべては、
君のせいだよ。
Special Thanks
you
(2019.1.5)