シャンプー変えました?
思いきってそう聞けたら気持ちは楽になるんだろうか。誰かに借りました?私の気のせいですか?なんて。
「先生、最近少し雰囲気が変わりましたね」
「私をおだてても君の罰則がなくなることはない」
「手は働かせてるんですから口も少し動かしたって良いじゃないですか」
「私にそんな口を利くのは君くらいだ。あちらの棚の整理も追加する」
はーい、といい子の返事をすれば、呆れたため息が聞こえた。罰則に嫌がる素振りを見せないのも、私くらいなのだろうか。自寮贔屓の先生が罰則を科すスリザリン生は私くらいなはずだ。
「先生、昨日はお出掛けだったんですね。質問に行った子が何人かすぐに帰ってきてましたよ。いいなぁ、先生たちは。休日は自由に外へ出ていけて」
「君も出ればいいだろう。校長室なら暖炉が使える。君にその勇気があるならな。だが一方通行だ。規則違反は私が退学処分にしてやる。君は晴れて自由の身だ」
「私、校長室の場所すら知りませんよ」
完成した棚を見て、先生を見た。彼は頷き次の棚を顎で示す。どうやら本当に罰則が延長されてしまっていた。
「それで、休日には何を?」
「色々と」
はぐらかすというよりは、真っ向から返答を拒否された。先生の心が読めたなら、私は何を見るんだろうか。きっと見たくないものが見えてしまうのだろう。
この罰則が終わってしまう前に、先生へ思いきった意地悪をしてみようか。その表情を崩してくれたらいいのに。いっそ見知らぬ誰かとの仲を見せつけてくれたらいい。楽になれるはずはないけど。
「シャンプー変えました?タイもいつもと少し違いますね。噂になりたくないなら気を付けないと」
「何の話だ?」
「私、鼻が効くんですよ。色んな意味で」
Special Thanks
you
(2018.12.28)