「ジェームズ・ポッターとはどういう関係だ?」
帰宅早々詰め寄ってきたセブルスがベッドへと私を縫い付けた。久しく聞いていなかった名前に瞬き数度の反応をして、小首を傾げ心底の問い掛けを口から出す。
「どうもこうも、故人との関係なんてとっくに切れてるでしょう?」
「ならこの写真は?」
彼に突き付けられたのは一枚の写真だった。そこには私とジェームズだけがいて、仲睦まじくじゃれあっている。
「わ、懐かしい」
裏にはシリウスの文字で日付とクスリとできる冗談が一言書かれていた。セブルスがこれを騎士団の本部で見つけてきたであろうことがすぐに分かる。
「私の質問に答えろ」
「学生時代の馬鹿な遊びくらいあなたもやったはず」
「私はしていない」
「そう?なら開心術を試そうかな」
「君にその才能はない」
「今なら開花しそうな気がする」
「それで咲くなら誰も苦労しない」
蝋燭の火を近付けて、彼の澄んだ瞳を覗く。そこに広がる深い黒はもう幾日も見ていない夜空を思い出させた。しかし彼の奥深くは隠されたまま。
飽きが顔を出し始めた頃、私は彼から顔を離して背筋を正した。その一挙一動を見つめる瞳は熱い。メラメラと燃える黒い炎は表に現れ燃えていた。
「こんな写真一つで嫉妬してくれるなんて、可愛いところが見れてよかった」
声に紛れ、私を繋ぐ鎖が甘美に喘ぐ。心地好い金属の擦れる音だけが私たちを包み込んだ。ぐしゃりと丸めた写真を放り投げて遠ざける。
「やつとはどんなことをした?」
「どんなことって……子供が友人とするようなことを色々と」
「なら、これは?」
後頭部に手を添えられ目を閉じれば、彼との距離がゼロになる。
「――セブルス、私にはあなただけ」
そしてあなたにも私だけ。
「その言葉に嘘偽りがあれば許さない」
Special Thanks
you
(2019.10.13)