おのれ、謀ったな!


「おのれ、謀ったな!」


失望に怒りを混ぜた怒号がホグワーツ城の外壁に跳ね返る。その発信源である男子生徒は肩をそびやかし風を蹴散らせながら、荒い足取りで大きく二歩三歩と壁際に立つ女子生徒へと迫った。


「来てくれて良かった、セブルス」


心底の安堵が溢れ出たように女子生徒は顔を綻ばせた。肩透かしを食らったセブルスはぐっと顎を引き、その足は自然と止まる。しかし呼吸を一つ挟むと彼は憤然と杖を取り出し彼女へと突き付けた。


「リリー、僕を賭けにでも使ったのか?誰か仲間が隠れてるんだろう!――レベリオ(現れよ)!」


疾風が二人を掻き乱し外壁を駆け上る。リリーのぷっくりとした桃色の唇に彼女の横髪が張り付いた。睫毛に乗った僅かな毛束を彼女は瞬きを繰り返すことで払い除ける。


「いるのは私とセブルスだけだよ」

「僕に『話があるやつが待ってる』と君が言ったからここへ来たんだ!」

「うん、言った。『こういうときの呼び出しは好きと嫌いのどちらかを伝えるためにするものだ』ともね」

「悪戯だろう、と分かってはいたがリリーからの伝言だったから僕は――」

「こうして来てくれた」

「それなのに!」


失望に今度は悲しみを混ぜ込んで、セブルスが喉を震わせた。興奮を晒し息荒く明確な理由を求める彼に対し、リリーは己の興奮をひた隠しにしていた。緊張に引き攣る頬を俯くことで誤魔化して、胸へ手を当てドクドクと太鼓を打ち鳴らすような心臓を押さえ付ける。

はぁ、と彼女が大きく息を吐き出した。


「話があったのは、私。意気地がなくってこんな回りくどいことはしたけど、

騙してないよ。だって私がセブルスのこと好きなんだもん」

原文 騙してないよ、セブルスのこと好きなんだもん
Special Thanks
you
(2019.10.13)


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