たまには白い服も着たら、と彼女は言った。
似合うかどうかは別だけど、とも付け加え、リリーは滑稽な私でも想像したのか肩を揺らして笑っていた。
失礼な。
「クローゼットを開けたはずなのにブラックホールへ繋がったのかと思った」
「それでこの間は笑っていたのか。黙って頼まれたものを持ってくれば良いものを」
「他人に頼んでおいてその言い種?全部同じに見えて見分けるのに苦労したんだから」
「それはそれは手間なことを頼んでしまったな。君なら分かるだろうと思ったものでね」
「あら、私はあなたの目を見て話してるの、セブルス。服じゃない」
パチパチと長い睫毛を上下させ、彼女はその澄んだ瞳を私へ寄せた。目玉がぶつかるのではと思うほどに近付いて、何かを囁くように、今度はゆっくりと瞬きをする。
「たまには白い服もいいものよ?」
リリーは再度、含み笑いとともにそう口にした。自身の服を魔法で白へと変えて、私へ見せつけるようにクルリと回る。純白の布が空気を孕み、彼女の踝がチラリと見えた。勢い余った裾がまとわりついて、ふわりと解ける。
「どう?」と小首を傾げる彼女の手を取って、
君が一緒に教会へ来るなら着てやっても良い、と私は答えた。
原文 キミがボクと一緒に教会へ行くなら着てやっても良いと、彼は答えた。
Special Thanks
月猫様
(2019.7.20)