半純血とは純血でもマグルでもない血統の通称である


半純血とは純血でもマグルでもない血統の通称である。

混血、なんて呼ばれることもある。半分に限らず先祖を辿ればマグルを含む家系は多い。普遍的で、大多数。

それが私。


「何か用かな、半純血のプリンスくん?」


研究室の入り口には若い男が立っていた。

少し前にホグワーツを卒業したばかりな彼を手招きして、朽ちかけた丸椅子を差し出す。しかし彼は立ったまま。大きな机を挟んで向かい合う。


「スネイプだ」

「あら、スネイプ?そっちで良いの?」

「……セブルス」


学生時代に何度も見た彼の不満げな表情。懐かしさにクスクスと笑い、これまた懐かしい彼の名を呼んだ。


「セブルス、それで用事は?」

「闇の帝王が一週間後に研究の成果を聞かせてもらう、と」

「一週間、か。成果も何もないんだけど、何かは出さなきゃね」

「人手が必要なら手伝うように、とも指示を受けた」


彼は少し期待を孕んだ目をした。地下に部屋を借りて魔法薬作りに励む私を、何度か訪ねて来ていた彼を思い出す。まだ彼の授業では出てきていないような上級魔法薬理論にも、今のような目で食らいついてきたっけ。


「それは助かる。何分、一人きりの闇の帝王お抱え研究所だから」


肩を竦め、今までの研究記録を彼へと差し出した。今度は彼も受け取って、素早く目を走らせる。彼が扉を叩く直前に失敗が判明した出来損ないの理論を黒板から消し去って、彼の揺れる前髪を頬杖ついて眺めていた。

顔を上げた彼は私から視線を逸らして虚空を睨む。


「レベリオ(現れよ)」


彼の振った杖は私を繋ぐ多数の管を露にした。中を通る赤や透明の液体が、私の身体を行き来している。


「察しのいい子は嫌いじゃないよ」

「いつまでこんなことを続けるつもりだ?」

「心配してくれるんだ?」

「はぐらかすな!こんな自分の身体を実験体にした研究では、あなたはもう長くもたない!生まれ落ちた血は魔法でどうこうできるものでもない!」

「それはあのお方の前で言うべきじゃないな」

「――っ!」

「いつまで、続けられるんだろうね、私は。でもきっと、止めないんだと思う。

この空が色を変えなくなるまでずっと」

Special Thanks
you
(2019.7.20)


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