とある彼女の恋愛事情もホグワーツではトップシークレットである


とある彼女の恋愛事情もホグワーツではトップシークレットである。

秘密ということは、学校中が知っているということ。だがその事を、当人たちは知らなかった。彼女は夜にこっそり――見回り中の同僚らはそれに見て見ぬふりをしてやって――割り振られた私室から地下へと下りる。そして時には地下から上がる男の姿もあった。

絵画も、ゴーストも、噂好きの生徒たちでさえ、二人の関係を見守っている。




「ミネルバ、セブルスを見かけませんでした?」


ある朝、リリーは職員室に顔を出すなりそう尋ねた。


「いいえ、まだここへは来ていませんよ」

「そう、ありがとうございます。寝坊でしょうか?珍しい。地下へ行ってみます」


少しして、今度はスネイプが職員室へ顔を出す。彼はリリーの痕跡を探して部屋を一周し、マクゴナガルのそばで足を止めた。


「リリーに急な仕事でも?」

「彼女ならあなたを探して地下へ行きました」

「すれ違ったのか」

「お互いの位置が把握できる魔法道具でも用意してみてはいかがです?」

「仕事を頼むためにそこまでする必要はない」

「地下にあなたがいないと分かれば、リリーもすぐにここへ上がってくると思いますよ」

「……いや、どうせ私は地下へ戻る。どこか道中で会うだろう」


そわそわと彼は職員室を出ていった。

玄関ホールで、大広間で、絵画の並ぶ階段で。リリーとスネイプは多くの生徒に目撃された。どちらかが現れては少し間を置いてもう一人が現れる。それは喜劇の追いかけっこをしているようだった。


「スネイプとリリー先生、まーたやってる」


肩を竦めてレイブンクローの女子生徒が言った。


「いっそ大々的に報告でもしてくれれば、こちらもきちんと祝福してあげられるのにね」


その生徒より低い位置から、フリットウィックの高い声が穏やかな空間に広がった。


「あの二人が、なんて初めは信じられなかったけど、慣れちゃうもんだよなぁ」


スネイプの数分後に現れたリリー背を見送って、グリフィンドール生が大袈裟に息をはいた。その場にいる者はあちらこちらと顔を見合わせ、そろそろ終わるであろう追いかけっこにみな表情を緩める。


「彼らはお似合いだよ」


世界が二人に微笑んだ。

原文 世界が彼女に微笑んだ
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(2019.6.28)


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