目をそらさずに


目をそらさずに、

私だけを見てもらうにはどうすればいいのだろうか。

例えば、


「ミスター・スネイプ、ご相談が!」


マルフォイ邸での会議を終え声をかければ、彼は簡単にこちらを向く。


「君は?」

「リリー・エバンズです。我が君の復活を聞きつけルーマニアより戻って参りました」

「それで?」

「はい、我が君の信頼も厚いあなた様に是非お願いしたいことが――」

「断る」

「私はまだ何も!」

「予想はつく。それが合っていようとなかろうと、我輩が手を貸すことはない」

「……失礼致しました」


しかしほんの少しのやり取りが終わると彼は急ぐように去ってしまう。

お願いしたいこと、なんてものは端から存在していない。ただ彼を引き止めたかっただけ。私だけを見てほしい。我が君にさえ嫉妬してしまいそうなこの熱をマグル狩りで吐き出しては、また溜める。

キリがない。彼が私を見る奇跡が起きない限りは。


ふと、杖を見た。11歳のとき、オリバンダーの店で手にしたときから従順に仕えてきた唯一の相棒。

我が君に仕えその背を追ってきたではないか。奇跡をただ待つだけなどこの身には似合わない。願いを叶える呪文は知っている。

禁じられているからどうだと言うのだ。

ただ、本気になれば良い。

そんな考えが、ふと頭をよぎった。

Special Thanks
PUNI様
(2018.11.21)


戻る



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -