夢で会ったのは子供の頃の君だった。
君はリリーと同じ赤毛を風に遊ばせて、リリーと同じアーモンド形の緑の瞳で、背も、声も、笑い方も、すべてが同じ。
『あ、リリー!』
横を抜き去った自分が幼い君を引き止めた。
『違うわ、スネイプ!私はリリーよ!』
あの頃の自分はリリーと君の見分けもつかずに、何度も君を怒らせていた。
『リリーはどこだ?』
『間違えたくせに!あなたにあの子を会わせたくない!』
『僕に会うかはリリーが決めることだ!マグルに用はない!』
『何よ、マグルって!私は私、リリーよ!』
「リリー……」
彼女を呼び止めようとした自分の声で目が覚めた。石壁の天井を眺め、寝返りを打つ。静まり返った寝室で、かつて覗き見た、リリーと話し込む彼女の笑い声が心に残っていた。
生き残った男の子を引き取ることなく、彼女は姿を消した。
彼女は今、どこにいるのだろうか。今更になって会いたいと言ったら、また怒らせてしまうだろうか。私の決意を、どう思うのだろうか。
もう、彼女を誰とも間違えることはできない。
きっと私は何度も彼女を夢に見る。彼女に、
また会う日まで。
Special Thanks
you
(2019.5.15)