変わらないものがある


変わらないものがある。

減ることのない新入生、馬鹿げたクリスマス、学年末試験の準備。授業での大鍋の爆発、異臭騒ぎ、頻発する些細な怪我。


「スネイプ先生!授業の質問をしても構いませんか?」

「疑問点を簡潔に」


授業終わりに声を掛けられる頻度が増え、教師としての務めを果たす。少し遅れて職員室へ入れば今度はマクゴナガルが歩いてきた。


「セブルス、今年のOWLとNEWTの日程が組まれました」

「どうも」


紙を受け取り目を通す。半分も読まないうちに、立ち去る様子のないマクゴナガルを訝しむ。


「まだ何か?」

「あの子ももう七年生なのですね」

「あの子?」

「ミス・エバンズですよ。あなたの睨みが効かない数少ない生徒のことは、職員みんなが知っています」


名を出され浮かんだ顔は様々な表情をした。歓迎会で組分け帽子を被り何故か自己紹介と抱負を述べた後の赤い顔、クリスマス・ディナーでクラッカーから飛び出たネズミに腹を抱えて笑う顔、大鍋の爆発から不出来な生徒を庇おうとした真剣な顔。


「また同じような生徒は現れる。誠に残念なことだが、エバンズが卒業したところで何も変わらん」

「学校に残りたいとは言わないのですか?」

「寮監はあなただ。我輩に進路相談はしてこない」

「最後の日くらい、何か言葉をかけてやってはどうです?ありきたりなものでもあなたが言えば感動すると思いますよ。今から考えておかないと、一ヶ月なんてあっという間なんですから」


言って満足したのか、返事を考える間もなくマクゴナガルは去っていった。

最後の日まであと一ヶ月。「ありきたり」すら分からぬ私に何を言えと言うのか。「おめでとう」も「さようなら」もしっくり来ない。そもそも学友とも最後だというのに私の元へ来るかも分からないのだ。

馬鹿げた思考に呆れながら視線を落とした。そこには手渡されたばかりの試験の案内。これが終われば一段落の厄介事。そして一学年分の生徒が入れ替わる。

あぁ、そうか、そうだ。やっと実感を伴ったような気がする。

もうこんな時期か。

Special Thanks
PUNI様
(2018.11.20)


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