それは些細なこと


それは些細なこと。

ランチタイムの大広間。自由に選べる職員席で、あなたはいつも私の隣を選んでくれる。


「こんにちは、スネイプ教授。朝はお見かけしませんでしたが、今日初めてのお食事ですか?」

「いや、外で摂った。校長は我輩をふくろうか屋敷しもべ妖精だと思っているらしい」

「それはご苦労様でした」


私がトーストやポテトを自分の皿へ取り分ける間に、彼はゴブレットへお水を注いでくれる。それはいつも、私が飲んでいるもの。


「ありがとうございます」


彼は仕草ひとつで礼を受け取った。私の前に置かれたゴブレットは大勢とは違う位置。それは左利きの私へ配慮した彼の気遣い。ただのお水がこんなにも美味しいと思えるのは、彼が魔法をかけたからに違いない。


「月曜日は生徒の表情が暗いですね」

「我々も似たようなものだろう」

「週休5日が良いです」


ふっ、と優しく彼が笑った。


「校長に掛け合うことだな」


控えめに手元の皿へ料理を取って、彼は最後に遠くの大皿を引き寄せた。しかしそこからは何も取らずにフォークを掴む。

その大皿に乗っていたのは、私の大好物。


「教授も如何です?美味しいですよ、これ」

「結構だ。見るだけで胃が凭れる」


自分で引き寄せておいて、彼はわざとらしく視線を逸らした。私が嬉々として手元の皿に盛り付けていく様子を横目で確認し、彼は軽く息を吐き出す。

私は、

そんなアナタが好き。

Special Thanks
you
(2019.4.15)


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