懺悔します。
私は今この時を、少し楽しんでしまっています。リリーとセブルスのちょっとした喧嘩が、もう少し続けば良いのにと。仲を取り持つ良い友人の私が、セブルスと話す機会が増えるから。
いつまでも引き延ばしていたい。でもそれは友人のやることじゃないって、ちゃんと分かってる。
「お、おはよう、リリー、リリー」
今日もめげずにセブルスは、挨拶をしにグリフィンドール塔までやって来た。大広間にいればリリーだって朝食を摂りに下りるのに「少しでも早く会いたいから」だって。
「おはよう、セブルス」
私が返せば、やっとリリーはその存在を知ったかのように口を開く。
「おはよう」
けれどチラリとも彼を見ない。グリフィンドールじゃない彼の勇気はここまで。撥ね退けるようなリリーの挨拶に足を竦ませ、共に階段を進むことなく止まってしまう。
「リリー、そろそろ許してあげたら?」
「もう何度もそうしてきたわ。でも彼ってば何も分かってない!」
「なら、これが最後にしよう。あと一度だけ、セブルスにチャンスをあげるの」
リリーがセブルスを嫌え切れずにいることくらい、友人の私には分かる。二人はまだ修復できる。
「セブルスに伝わると思う?血筋のことも、闇の魔術のことも。私がどうして受け入れられないのか」
「今度こそ、きっと伝わる。まぁ今年はOWL試験に付きっきりで他に執心してる暇なんてないだろうけど」
「あら、試験なんて毎日の積み重ねなの。ふくろうだろうと同じじゃない?」
「わーお、五年生全員を敵に回したね」
ケラケラと二人して笑って、階段を三階まで下りてきた。吹き抜けの大階段を見上げた上階には、赤と青に溶け込めず居心地悪そうに歩くセブルスの姿。
「セブルス、こっち!」
「ちょっと、リリー!」
「もう一度だけ、許してあげるんでしょ?」
敏感に反応した彼に手を上げて、こっちへ来いと手招きをする。分かりやすく表情を和らげた彼に隣のリリーを覗き見ると、彼女もセブルスを見つめていた。真っ直ぐな緑の美しい瞳の強い輝きに、彼も私も引き込まれてしまう。
「先に大広間に行ってるね、リリー」
「分かったわ」
数段下りて、セブルスの慌てた声に振り返る。けれど彼は私なんてちっとも見えてない。映っているのはリリーだけ。
あぁこれで、友人二人の
明日はきっと笑顔。
Special Thanks
r.a様
(2019.3.13)