01

 傷のついたいびつな水晶玉のように歪む視界で、彼がにこりと笑う。目元だけが、モザイクのように黒く塗りつぶされて見えないで。
 絶対的な快楽と、抗いきれない絶望が、混ざり合ってほつれる。糸の先はまだ、誰も知らない場所につながっている。



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