「いい、もうわかったし」
「え?」
「ルーシィも、オレのこと好きなんだろ?」
「な、なに言ってんの」
「ほら」

ナツの口角が上がって、犬歯が覗く。視線を追うと、しっかりと彼の右手に絡みついた、自分の指。

「ウソ発見器みてぇ」
「や、これはっそのっ、勢いでっ」
「身体はこんなに素直なのにな」
「言葉おかしいから!」

手を取り戻そうと試みると、存外するりと抜けた。本気じゃなかったのに、と思ってしまって、目が泳ぐ。
誤魔化すように、ルーシィはもごもごと口を開いた。

「じゃ、じゃあ話は終わりでしょ。帰って」
「冷酷だな」
「いや…てか、大体こんな時間に来るなんていつも以上に非常識じゃない」
「来たのはもっと早ぇよ」
「ああそう、それなら…っ!?」

さっきの違和感が形になった。雪に、足跡が見当たらない。

「あんた何時からここに居たの!?」
「23時過ぎくらい」
「って…4時間もここで何してたのよ!?」
「眠くなっちまって。ルーシィに訊いたらベッド入っていいって言うから」
「はい?」
「寝てた」

ナツは悪びれもせず、ベッドの、今しがたルーシィが寝ていた横を指差した。
事実を理解するやいなや、彼女の顔に火がつく。同時に、右手が飛んだ。

「いてっ!」
「人が夢現のときにそんな確認するな!」
「え、あ、じゃあ」

ナツが叩いた側と反対の頬も赤らめた。

「いいか?」
「ダメに決まってるでしょ!」

桜色の脳天にチョップを落とす。ちぇ、と口を尖らせるナツが心底残念そうに見えて、ルーシィの頭が沸騰した。

「そんな顔したってダメなもんはダメ!」

赤くなったってことはわかってんのよね?そういう期待してんのよね?
でもでも、あたしそんな軽いつもりないし!こういうのはもう少し段階を!
大体ナツだし、どうせ寝るだけなんじゃ…って、別にあたしはそんな想像してないってば!

誰にともなく言い訳して、今着用している下着の形状を思い浮かべる。
ぐらぐらと沸き立つルーシィを前に、ナツはあ、と呟いた。

「しまった、離さなきゃ良かった」
「へ」
「やり直しな。もっかい訊くから、手ぇよこせ」
「や、ややややだっ!やめてっ!こらっ!」
「逃げんなよ。それとも隠さなきゃならないような…ぐもっ!?」

心中を悟られまいと放った蹴りは、ナツを朝まで床に沈めておくほどの威力があった。






温かいウソ発見器。
お付き合いありがとうございます!


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