確か三日前……いあ、四日前か。
ジュビアがグレイにしりとりをもちかけてたんだ。

『ジュビアが『す』で終わる言葉を言いますから『好き』って言ってくださいね!』
『言うわけねえだろ!』
『そしたらジュビアは『キス』って言いますから、』
『しねえ!』
『まだ何も言ってませんよ!?』

あの時はまたやってるってくらいにしか思わなかったし、ジュビアって変なこと考えるなって思ってた。けど、うん。もう想像しちまったし、オレ。ルーシィの『好き』――うん、悪くねえ。
ルーシィとはコイビトになりたいとか、付き合いたいとかそんな風には思ってねえ。ただ結婚すんならルーシィが良い。それだけだ。
だからルーシィに好きなんてわざわざ言ったことねえし、言われたこともねえ。別にそれで良いと思うけど――思ってた、けど。

言わせてみたいっての、今ならわかるぞ、ジュビア。

「ちょっとナツ?まだ?まさか自分から言っておいて寝てないわよね?」
「あ?あー……」

なんだっけ、ピーナッツ?『ツ』で始まって『ス』で終わる?んんー、浮かばねえな。次にするか。

「月見ステーキ」
「き、北」
「たす、た……たけのこ」
「んー、えー、木の葉」
「ハンバーグ」
「ぐ?……グレイ」
「却下」

なんか腹立つ。オレよりグレイが先に出てくるなんて。くそ、ナで終わる言葉にすれば良かった。

「人名有りでしょ?あんたハッピーから始めたじゃない!」
「ちぇ。じゃあ良いよ、イ……イモ団子」

あっ、イスがあった!くそ、忘れるなあ。

「ご……ごー、ご、ご……『こ』でも良いわよね?こな」

え、オレに『ナ』が回ってくんのかよ。まあ良いけど。

「ナツ・ドラグニル」
「……ルーシィ・ハートフィリア」

そこはルーシィ・ドラグニルで良いのに。つかオレの名前とルーシィの名前って繋がってんのか。へー。

「……へへ」
「えっ、なあに?」
「べっつにー」

手、もうちょっとだけ。このくらいならぎゅってしてても痛くねえかな。

「な、何よ」
「んーん。えーと、ルーシィ・ド……じゃなかったハートフィリア、だから……アイスクリーム」
「む、む、無職」
「無職って。お前もうちょっと楽しそうな言葉探せよ」
「なっ!?アンタだって食べ物ばっかりじゃない!」

へ?そうだっけ?

「そんなことねえだろ。食いモン以外だって、えーと、く、く、く……クリ……スマス」

ふぅ、回避した。どうだ、この見事な切り返し。
あ。

『ス』で終わった。

「今のちょっとズルくない?」
「ス、だぞ」
「はいはい、わかってるわよ。えっと」
「ほら、すぐ出てくるだろ、スから始まって、キで終わる……」
「え?」

うぉ、ドキドキしてきた。耳、耳!ちゃんと聞こえてるか!?おっしゃあ、準備よーし!
さあ、いつでも来い!

「すまき?」
「……」

ああ、ホントだな。スから始まってキで終わってる。うん。
……。

「……ナツ?」
「こっから出たら簀巻きにしてやっから、覚悟しとけよ」
「はい!?」

お、手が逃げようとしてやがる。んなの、許すわけねえだろ!
あ、ハッピーの翼の音がする。もうすぐ来るな。で、エルザ達呼びに行ってー、だから、もうちょっとかかる。
しりとりの続きもその後だ。ルーシィの『ス』はやり直させねえとな。
だってオレ、『キ』から始まる言葉、一個しか思い浮かばねえもん。






『北』『木の葉』『グレイ』『無職』『すまき』哀愁漂う言葉達。
お付き合いありがとうございます!



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