「あい、じゃあオイラ、助けを呼んでくるよ!」
「お願いね!」
ルーシィの声よりハッピーの声の方がよく聞こえる。つーことは、どっかに外への隙間があるってことか。もしかしてそこを広げたら簡単に出られんのかな。よし、気付かなかったことにしよう。
「せっかくこんなんなってんのに、自分から出るとかバカだもんな」
「え?何?」
「いあ、エルザ達、おせえなーって」
「行ったばかりでしょ!」
動けねえし窮屈だけどルーシィの手はここにある。手だけ、ってのはつまんねえけど――ってそういえば、ルーシィの手ってあんま触ったことなかったな。乳の方がよく触ってるかもしれねえ。
「……ね、ねえナツ?」
女の手って手じゃねえみてーだ。こんなんで殴っても大した攻撃力ないだろ。
「あの……なんでさっきから、手……?」
「んー、どれ」
「ひゃっ!?」
こうして指を組んで、火竜の煌炎出すときみたいにしてっと。この体勢じゃ上に叩き付けるくらいしかできねえけど。
「ほっ」
「いっ!?」
あ。しまった。岩崩れた。
「いたっ、何すんのよ!てか、穴空いた!?出られるの!?」
「いあー、ダメだなー。もうちょっとでかい穴じゃねえと無理無理」
「えっ?でも結構……て、ちょっと待って。なんで棒読みなの?」
「むーりむりむり」
ちぇ、連鎖的に崩れやがって。足も出るじゃねえか。
まあ大丈夫だ。ルーシィなら誤魔化せる。
「むりむりむーりー」
「なに歌ってんの!?」
はは、ルーシィの手が怒ってる。ぎゅってしとこ。