「ん?」
なんか上から降ってきた。って石か。まあこんな崖からなんて、石くらいしか落ちてくるようなもんねえけど。
……なんだこの軋んでるみたいな音。
「――ルーシィ!」
ほとんど直感だけど、オレはルーシィに飛び付いた。抱えて走るのは間に合わない、ような気がする。
「きゃぁああ!?」
「ぐっ……!」
やっぱりだ。崩れてきやがった。ハッピーはエルザ達と一緒に居るはずだよな。
ルーシィは絶対守っ、痛っ、ぐぬ、このっ、うがあああ!さっさと落ち切れよ!
いっ……。
………………う?あれ……あっ!
「ルーシィ!ルーシィ!?」
やべ、意識飛んでた!ルーシィは……なんで居ねえんだよ、オレちゃんとギュッてしてただろ!?どこ行ったんだ!?
暗い……ってことはここ、まさか岩の下か?オレは潰されてねえけど挟まってて動けもしねえ。ルーシィは――
「う、んん……」
よし、居た!
「無事か!?おい、ルーシィ!ルーシィ!」
「……ナツ?え、これ、ナツ?」
ん?手がさわさわする。あ、これルーシィの手か。オレ、手だけは離さなかったんだな。
でもルーシィが見えない。なんだよこの岩。顔も身体も足も、髪の毛一本見えねえじゃねえか。手は繋がってるからそこに居るのは確かなのに。
「怪我してねえか?」
「……うん、痛いとこはないみたい。ナツが守ってくれたのよね?ありがとう」
「いあ……」
「でもこれ、狭くって動けないわ」
「オレもだ」
ふうん。ルーシィも同じか……なんか面白くなってきたな。
「動けないルーシィにムカデとかたかんねえかなー」
「何怖いこと言ってんの!?」
「へ?オレ今口に出てたか?」
「無意識に呪いをかけないで!」
お、生意気に力込めてきやがった。へへん、握力でオレに敵うわけねえだろ。
あれ……ルーシィの手ってこんな小さかったか?細いっつーか薄い。本気でやったら折れそうだし、やめといてやっか。
「ねえ、出られないの?炎は?」
「お前が燃えるんじゃねえかな。やってみるか?」
「助けを待ちましょう」
「ちぇ」
「舌打ち!?」
ま、ハッピーも戻ってくるしな。こっちは異常なしだって報告しに行っただけだから。
……待つだけか。暇だな。
「しりとりしようぜ」
「なんでいきなり!?」
「他にこの状況でできる遊びねえし」
待てよ、しりとり?あ、アレやってみっか。
「じゃあオレからな。ハッピーの、ピー」
「初っ端から難易度高いわね。ピー……ピー、ピーナッツ」
さぁて。どう繋げるかな。
ジュビアの言ってた、アレに。