食ったら眠くなってきたな。ふぁ、あくびが出る。

「そろそろ寝るか」
「早くない?」
「眠いって思ったときに寝ねえと暴れるぞ」
「なに脅してんのよ」

脅してるつもりなんてあるけど。あっ、今気付いた。これ、わがまま言い放題じゃね?

「今日ベッドで寝て良いよな?」
「はっ?良いわけないでしょ!?」
「あー、ソファじゃ途中で起きそうだなー。なあ、ハッピー?」
「あい!ふかふか布団でならぐっすり眠れそうだよね!」
「昨日は大丈夫だったんでしょうが!」
「昨日のオレと今日のオレが同じだと思うなよ」
「言っとくけどそれ、ぜんっぜんカッコ良くないからね!?」

あ、しまった。これじゃあ、なら帰れって言われそうだ。
でもルーシィはそれに気付かなかったのか、わざとらしい溜め息を吐いただけだった。

「今夜だけだからね」
「おおっ、やった!」
「やったー!」

あとはあれだな、ルーシィが先に一度寝てくれりゃあ最高だな。匂い付けてくれればもっとよく眠れる……って。

そうか、ルーシィも一緒に寝りゃ良いんだ。

おお、ナイスアイディア。そうだそうだ、匂いは元から持たなきゃダメって言うじゃねえか。こんなことでもない限り、ルーシィがうんって言うわけねえし。

「あたしお風呂入ってくる。先に寝てて良いわよ」
「あ、おう」

ハッピーはすぐに布団に潜ってったけど、オレはベッドの端に座ってルーシィを待つことにした。まだ一緒に寝る約束してねえもんな。何も言わなかったらルーシィは絶対ソファで寝る。止めねえと。

「あれ、ちょっと温かい気がするよ、ナツ」
「へー……」
「ルーシィのベッドって保温性高いんだね」
「あ、それオレだ。夕方、オレが寝てた」
「ナツかぁ。なんか損した気分」
「おい」

それきりハッピーは無言になったけど、まだもぞもぞと布団が動いてる。眠くねえのかな。寝付き悪ぃ方じゃねえはずだけど。
……ルーシィまだかな。見に行ってみっかな。――って思った途端に出てくんだもんな。こっち来るのは後五分ってとこか。
んー。落ち着かねえな。んー。んー……。

「あれ、まだ寝てなかったの」
「やっと来た」
「何?待っててくれたの?」

石鹸の匂いが強くなったけど、ルーシィはちゃんとルーシィの匂いがする。よしよし。

「おう、一緒に寝ようぜ」
「あは、可愛いこと言うわね」
「ん?」
「うん、じゃあ一緒にね」

あれ、思ったより簡単だな。
まあ良いか。じゃあオレはハッピーを枕元に寄せて、壁際で……って、おい。

「ルーシィ?」
「なあに?」
「なんでお前、ソファで寝ようとしてんだ?」
「え?」

ルーシィはソファに座った状態で首を傾げてる。完全にそっちで寝るつもりだよな、これ。

「なんでって、まさか床で寝ろとか言わないわよね?」
「違ぇよ。一緒に寝ようって言ってんだろ」
「うん。一緒に、でしょ?」

……あ、わかった。こいつ、『一緒』を『同時』って意味で言ってやがる。






ストレートな言葉も空振り。


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