なぞなぞあそび





「ね、今日はジャスミンティー飲んでみない?」
「んあ?」

ソファのナツとハッピーからは、「何でも良い」と張り合いのない答えが返ってくる。しかしそれで良かった。約束どころか許可もなしにいきなり部屋に入って来ているのだから、飲み物に注文を付けられるのはいい気がしない。それに一応訊ねてはみたが、ルーシィはすでにティーポットにジャスミンティーの葉を入れていた。
焼き菓子と用意したお茶をトレイに載せて持って行くと、ナツは目を丸くした。

「すげえ匂いすんな。飲めんのか、それ」
「当たり前でしょ。お肌やお腹にも良いし、リラックス効果もあるのよ」
「オイラの毛並がつやつやになるの?」
「そう……かもね。ミラさんがね、分けてくれたの。この辺じゃ珍しいからって」

ティーポットの蓋を少し開けて、中を見る。加減がわからないがこのくらいで良いだろうと、ルーシィはカップに注いだ。紅茶を見慣れているせいか一瞬早かったかなと思うほど薄い色のそれを、ナツとハッピーの前に置く。

「どうぞ」
「お、おお……」
「ルーシィ、これお花だよ。間違ってお茶じゃなくてお花入れてるよ」
「こういうのなの!」

自分の分も淹れて、香りを楽しむ。二人は上下左右、あらゆる角度からカップを眺めて、そろりと手を出した。目を合わせてタイミングを計り、えいやっと口を付ける。

「……ふは」

ハッピーが首を傾げた。

「どう、ナツ?」
「ああ、まあ思ったより……って、お前は?あれ、飲んでねえの?」
「オイラ猫舌ですから」
「……」

ナツは一気飲みしたらしく、カップは空になっていた。反応からあまり好みではないのだろうと悟って、ルーシィは腰を上げた。

「何か違うの持ってくるわよ」
「いあ、良い。これで」

ナツはティーポットを傾けて、自分で二杯目を入れた。今度は角砂糖を一つ落として、スプーンでくるくると掻き混ぜる。

「茶を掻き混ぜるのにどっちの手を使うか、ってなぞなぞあるよな」
「何それ?」

初耳だった。ナツは「聞いたことねえか?」と口角を上げた。「どっちの手だ?」と訊いてくる。

「えー……右手?」
「ぶぶー、どっちも使わない。スプーン」
「あ」
「やーい、引っかかったー」
「うわあ、なぞなぞよりもあんたにムカつく」
「真顔過ぎるぞ!?」

ハッピーはカップの液面にふぅふぅと息を吹きかけている。会話に入ってこない彼に視線を向けてから、ナツはぴ、と人差し指を立てた。

「じゃあ次な。名前を呼ぶと壊れるものは?」
「あ、それ知ってる。静寂」
「ちぇ、正解。んー……とられてからじゃないと手に入らないもの」
「えっ?何それ……とる。とる?あっ、わかった!写真!」
「正解。じゃあ、朝飯では絶対食えないモンは?」
「朝……?あ、昼食。夕食?」
「どっちも正解。つまんねえな」

ナツはむぅ、と口を尖らせた。






ナツはこういうのムキになって考えそう。だけど今回は出題側。


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