Kitty Party
おしまい

「ほんっとにあいつムカつくわ!私がライフのスキンケア見てただけなのに《まえの酒明けの肌荒れはそれじゃなおんねーし》とか言いやがったのよ!
そりゃ美意識はプロ以上だから間違いはないにしろよ?だけど普通レディに、しかも自分の恋人に底まで率直に言う!?
人の気になるところオブラードに包まずずばずば言いやがってからに〜!
男は黙って「いいね」「可愛いね」だけ言ってればいいのよ!」

『あー分かる分かる!ちょっとは言葉を選んでほしいってやつだよね!』

「ココさん…原作の表紙ではあれほどあのdokuって書いてあるパーカーは着ていかないでって言ったのに…
ファッションセンスがピンキリなんですよもうっもう!あとグルメ細胞を持つココさんと一般人のの私の体力は違いが有り余るのだから夜の…その…限度というものを分かってくれてもいいのに!この間の週4て…週4て…」

「いや普段の全身黒タイツと緑ターバンも結構独特よ?あとあいつらの性欲はもはや化け物よ。」

『承太郎さんも黙ってればかっこいいんですよ!言葉が足りないくせに行動がから回っててるんだから!普通にしてれば完璧なのに!
この間もお家でデートしてたら急にほっぺに噛み付いてきて何事かと思ったら「…アマミホシゾラフグの求愛だ」とか言い出して……知るか!!!
あんたは哺乳類だろうが!
構ってほしいならはっきりそう言えや!!!』

「男性は見栄張ってなんぼの生き物とは言いますが、女性は素直な言葉や行動を好むものです!ココさんにその心配はないけれど…私も同じことされたら多分くどいと思ってしまうわ」

「ほんっとに男共は分かってないわよね」

「「『ね〜!』」」







「「「なんだこれは…」」」


午後10時半、男性陣もお互いの親睦会を終え、女性陣をお迎えしようとすると冒頭の惨劇が繰り広げられていた。

マリアは履きづらいルブタンのピンヒールを投げ出し裸足をばたつかせながらアグラベーションを煽り、
クラルは露骨な反応は無いものの、目がとろんと据わり頬が赤く、ラ・フランスカクテルを見つめながらタガが外れたのか普段言わないような恋人との爆弾発言を投下する。

承太郎のパートナーの人魚に関しては、もはや正体である尻尾を床下にさらけ出してチャイナブルーをちびちび飲んでいた。

「まさかクラルがここまで羽目を外すなんて珍しいな…」

「まえ、性欲抑えろよ…きしょいぜ」

「ム…哺乳類となると今の俺にはマレーオオトカゲの求愛が限界か…」

「まえはちゃんと人間の行動を取れジョータロー!」

「サニーだって、女性は繊細なんだからもう少し優しく教えればいいじゃないか、言い回しって言葉があるんだから。
そのままだとまた恋人を誰かに取られるぞ?」

「るせぇーし!ココこそ自重しろ!クラルが過労死ならぬ抱き殺死すんだろうが!死因が抱き殺しってわらえねーし!」

「ぼ、僕だってあれでも紳士らしく我慢してるんだ…でもいざクラルを前にすると…ね?」

「週4で相手の限度を知らず獣みたいに求めるのを紳士と言えるのか?」

「ぐっ……僕は口下手じゃないからストレートに行動するタイプなんだ!君こそまだ人魚のお嬢さんとの関係が平行線のままじゃないか!」

「……チッ」

(舌打ちしたぞこいつ)

承太郎はいたたまれなくなりパートナーの手からチャイナブルーのグラスを外し抱き上げる。
彼女はいきなりの出来事が分からず惚けた目で承太郎を見つめる。

『…?…はかせぇ?』

「やれやれ、優等生のくせに酒で潰れてんじゃねぇ。明日講義の講義に響くぜ。」

『やぁ〜博士私のお酒取っちゃやだぁ〜意地悪する〜』

「黙って大人しく言うことを聞け。彼女達と話がしたいならまたの機会に会えばいいだろ。
今は帰るぞ、俺の首に掴まれ。」

大人しくなったパートナーを抱き上げると、その小さなパートナーは承太郎の首に腕を回し顔を胸板に埋めて嬉しそうに擦り寄る。

『博士ぇこれですよこれ…博士かっこいい…だいすきぃ…』

「……やれやれだぜ…質言は取ったからな。」

明日たっぷり話を聞き出してやると言葉とは裏腹に慈愛のこもった目で人魚を見つめて失礼すると一言残して承太郎は出ていった。


ココはクラルに「さぁ僕達も帰ろう」と背中を支えて抱きあげようとするが「…いやです」と手で押しのけられてしまった。

「クラル?」

「…ココさん、けだものなんですもん…」

「えぇっ…」

ココは困惑した。確かに夜になると自制が効かずクラルに多少の無理をさせてしまっている気がしたが、まさか以前の週4のペースがここまで彼女を困らせていたのは予想以上だったのと、愛しい妻に嫌がられたショックでつい弱気な声を出してしまう。

「この間の事、まだ根に持ってるのかい?」

「…」

「すまない、君を見てるとつい止まらなくなってしまうんだ。クラルを目に留めるだけで抱きしめたくなる、匂いを嗅いで、触れ合って、そこに君がいる実感が僕の人生でたまらない至高のひと時なんだよ。」

「……んん、で、でも、度が過ぎるのは嫌いです…」

「度が過ぎてしまう僕も嫌い?」

「そ、それは…」

「クラルは僕のこと、好き?」

「っ、いじわるです…私の腹の底はご存知なはずなのにっ」

答えは決まっている、ココはそれを分かった上でこんな愚問をクラルに問うたのだ。
クラルはたまらず小さな手でぽかぽかとココの胸板を叩く。そんな可愛らしい妻にふふっと笑をのこぼすと軽々と抱き上げた。

「さぁ、お姫様の機嫌が直るまで責任をもってご奉仕するよ。だから今は家に帰って休もう。」

「ふふっ」

ココはクラルの額にキスを通すとサニーに「じゃあ僕達もお暇させてもらうよ」と颯爽と去っていったのを見て、サニーは(ぜってー反省してねーな)と冷めた目で見つめる。

「おいマリア、れたちも帰るぞ。しっかり掴まりな」

マリアの背中を支えて手を差し伸べるが、マリアは何故か不機嫌そうにむくれて顔を背けた。

「…いやよ」

「はぁ?まえも駄々こねるのかよ。ワガママ言うなし、これ以上ここにいても店に迷惑だろ?」

「…ジョータローとココはお姫様抱っこしたのよ?」

あー、つまりなんだ、この恋人は自分に彼らと同じように姫抱きをして欲しいから、手を掴むだけなのが嫌だとむくれているらしい。ちくしょう、可愛い。

「まえ1人くらい持ち上げるのは簡単だし。」

「あ、髪の毛は使わないでよね!」

「んなにひ弱じゃねーし!おらとっとと掴まれ!ヒールはちゃんと手で持てよ!」

「この馬鹿!ムードってもんがないじゃないのよ!」

「ガママだな!何がしてほしいんだし!」

くどい訳ではない、ただサニーは恋人の意図が読めない事に苛立ちつい声を荒らげそうになるがマリアの潤んだ瞳を見ると固まった。

「クラルが…」

「?」

「…クラルが…ココは毎日ストレートに愛情表現をしてくれて逆に困るくらいだって…
アリエルガールのステディも言葉は少なくても行動で充分すぎるほど愛が伝わるから心配したことがないらしいわ…」

「おい、マリア?」

「出かける時だって、何がいいか聞いたら毒舌炸裂する誰かさんとは違って可愛いって言ってくれるってよ…」

(…つまりなんだ、ライフで出かけた時のことを根に持ってんのか…?や違うな、きっとれは自分が気づかない以上にマリアに負担をかけてたんじゃね?
痴話喧嘩は度々あったけど、それでもマリアはほかの女に比べたらまだ我慢強い方なのかもしれない。ただクラルという友人が隣にいるから周りがそれに気づきにくいだけなのかもしれねぇ…)

ハッと今までの自分の素行の悪さにココの説教がのしかかり罪悪感が胸にひりつく。
未だに頬を膨らませバーカバーカと呟くマリアの顔を引っ掴み胸に抱き寄せて顔を見られないようにする。

「悪かった。レも言葉の選びがちゃんとしてなかったし。マリアが本気でもっと綺麗になりてぇって思ってるのしってるから、れも努力を無下にしねぇようにって思ってたんだし…
奴らみたいにおべっかはしねぇし。」

「サニー…」

「がれは少し大人気なかった。それでまえに沢山我慢させてたのは謝るし。本当に悪かったよ。」

「……女の子が好きな男に求めるのはプライドや威厳じゃなくて、いつだって言葉や行動で示してほしいものよ。」

「あぁ」

「…これに懲りずにまた一緒に出かけて」

「おう。まえのしたいこと全部れが叶えてやるよ」

サニーはマリアの頬にキスをすると先ほどの二人のように姫抱きをする。

「言ったわね?とことん付き合ってもらうから。あと別に何でもかんでも良いねしなくていいけど、言葉は選んで」

「はいはい」

「たまには可愛いって言ってよね。女の子は褒められると嬉しいんだから」

「元から可愛いのに言う必要あんのか?」

「……えっ?」

「しまった…!」

時すでに遅しのお寿司。サニーが顔を真っ赤にして逸らすのと同時にマリアは信じられないものを見たような笑顔でサニーに詰め寄る。

「ねね!今のもう1回言って!わんもあぷりーず!りぴーとあふたみー!」

「っせーし!いいから黙って掴まるし!」


サニーは外にいるボーイに「会計はIGOとSPW財団につけてくれ」と言ってレストランを出る。

翌日姫君3人が二日酔いで頭を抱えたのは言うまでもない。


おしまい

【これはヒドイ…このまで付き合ってくださって大変感謝の極みに存じます。ほぼ私の妄想なので本来の内容と不適切な点がございましたらなんなりとお申し付け下さい。
今回コラボさせてくださったあさひさん所のクラルさんマリアさんありがとうございました!

P.S.二日酔いには塩を少しとかした塩水がいいらしいです。】



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