お喋りはショッピングの後で



「どれにするか決まったかい?」
「…はい。こちらにしようかと」
「……SeasonalCreationsの、どれ?」
「こちらです」
「……、毎回思うけどここのアイスはネーミングがコミカルだね」
「アメリカンですよね」
「まぁ、アメリカには違いないけど。よし、じゃあ僕はこっちだ」
「ココさんはいつも即決ですね」
「なまえが迷っている間に決めているだけだよ。メニュー表は……持ったままで良いのかな?」
「その様ですよ」
「そうか」
「………」
「………」
「……そう言えば。結局服、有りませんでしたね」
「……ああ。まあ、仕方ないよ。今日は諦めるさ」
「いつもはどちらで買っていらっしゃるのですか?」
「いつも?」
「はい」
「適当だね」
「適当?」
「この体格だから選択の幅が狭いんだ。だからいつも、見つけたのを適当に買ってる」
「……あれは、ココさんのご趣味ではなかったのですか?」
「……一応、それでも選んでいるけど」
「………」
「なまえ?」
「ココさんて」
「ん?」
「…アースカラー、お好きですよね」
「アースカラー…?」
「丁度今着てらっしゃる様な配色です」
「ああ、これ?」
「はい。見ていらっしゃったのもその様な色味でしたから。グリーンや、ブラウンやベージュを」
「………」
「………」
「そう言えば多いね」
「そちらは無意識だったのですね」
「まあ…それよりなまえは?結局買わないままかい?」
「そうですね。どうしましょう。」
「あのワンピースとか良く似合っていたよ。クラシカルな雰囲気で、最高だった」
「ありがとう御座います。でも、あちらは買っても着て行く所がありませんから」
「………」
「ココさん」
「ん?」
「謙遜でなく本当に、着て行く所がありませんからね」
「……最近聡くなったよね」
「溜息、吐かないで下さい」
「あーあ」
「あらあら」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…どうしたの?」
「え?」
「さっきからちらちら見上げて来るから」
「ココさんは、相変わらず聡いですよね」
「ありがとう。で、何?」
「…いえ、やっぱりこうして立って並ぶと…大分身長に差が…と」
「ん?ああ。でも、僕がこうすれば済む事だよ?」
「近過ぎます」
「近付けてます」
「……外ではいけません」
「はいはい」
「もう」
「あはは」
「………」
「………」
「あの、」
「ん?」
「一休みしたら、次はあちらのお店に行きませんか?」
「靴屋?」
「はい」
「……足、痛いのかい?」
「いいえ。…デート用に、一足欲しくて」
「…どう言う意味だい?」
「…やっぱり、少しでも貴方に近付きたいので。確りした厚底のサンダルを一足買おうかしら、と。今人気みたいですし」
「…なまえ。でも君、ヒール苦手だろ?」
「はい。でも、厚底は経験がありませんから。この機会にトライです」
「…履き慣れないからって転ばないでくれよ?」
「…分かってます」
「僕の横では良いけど」
「……矛盾してません?」
「今のは転びそうになったら支えるって意味さ。つーか横にひょいっと、抱き上げるかな。そしたらそのままお持ち帰り出来、……と」
「……………」
「…………」
「……ココさん、」
「あ、次だよ。ほらなまえ」
「……もう」



( お喋りはショピングの後で )



「困った方」






‐‐‐‐‐‐‐
この後靴を見て試したは良いけれど、逆に近い距離にお互い変にドキドキしちゃって結局保留。とかね。
そんなデート風景でした。
因みに並んでいるのは歌を歌ってくれる某凍った石のつもり´ω`



(12.05.21/掲載)
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