土脈潤いに起こる



昨日から降り続いている雨は一向に収まることを知らない。
今日も一日降り続くという天気予報の通り、見上げた空は灰色のままだ。
もちろん、冬の雨というのは気温が下がるし、ぬれたらもっと寒い。
だから雪になってくれればといつも思っていた。
しかし大阪の雨はなかなか雪になることはない。



「何、なんか外に見えるん?」
「何も見えへんけど・・・」

素肌にシーツだけをかぶった私を後ろから蔵之介が絡み付くように抱きしめてきた。
後ろを振り返ると、寝起きの蔵之介の顔が目に入るが、眠いようでほとんど目が開いていない。
私は自分が包まれたシーツの中へと蔵之介を招き入れる。
さっきまで毛布の中にいたのだろう、蔵之介の体は驚くほど温かく、逆に自分の体が思った以上に冷えていたことに気づく。

「冷たっ!名前、だいぶ冷えてるやん」
「今さっき出たばっかりやで?」
「でも今日寒いもん、こんなぺらっぺらのシーツ一枚やったらすぐ冷えるわ」
「蔵之介が暖かいから、大丈夫やで」
「お前なあ・・・」

蔵之介の首筋に顔を埋め、体にぴったりと寄り添うと安心したようにため息が出た。
蔵之介の体はさっきの行為のためか、まだ熱っぽささえ持ち合わせているようだ。

「今何時?」
「4時半」
「もうそんな時間なん?」
「結構寝てもーたみたいやなー、テスト勉強、何もしてへんけど」
「そやな〜」

気づけばずるずるとベッドの中に引き込まれ、蔵之介の下敷きになっている。
じゃれるように私の胸へと顔を埋め、腰に手を回し、反対の手は私の太ももをなで上げる。

「んっ、ちょっと、さすがにそろそろ勉強・・・」
「あと一回、あんな名前ちゃんのかわいい甘える姿見てもーたら、体熱持ってもーたもん」

蔵之介がわざと固くなったものを私の内股にすりつける。
そのまま私の左胸へと唇を通わせ、太ももをさまよっていた右手がいつの間にか内股へと上がってくるとそのまま割れ目をなぞり始める。

「名前ちゃんも、十分その気やんか」

漏れそうな声を抑えるように口を固く閉ざすが、蔵之介の細く長い指が一本、卑猥な音を立てながら中に入ったときにはのどの奥から漏れる声は押さえることができなかった。



少しずつ近づいてきている学年末の試験を目の前に蔵之介とふたりで勉強をしようと決めたのは、蔵之介に雨が降って部活がないという連絡がありそれを受けたすぐに私に連絡をしてきたからだった。
今日は元々私も部活がなかったので、雨も降っていることだし、家でダラダラしながら勉強もちょっとぐらいはしようと思っていたのだ。
そこに携帯電話がなり、呼び出しがかかったって所だ。
蔵之介は急に呼び出したり、急なことが多いけど、ちゃんと迎えにきてくれるし、最後まで送ってくれるので、その急な呼び出しは嫌いじゃない。



「なに、違うこと考えてんの?」
「ん、ちがっ・・・あ、ちょっと」
「待てへんで、ちゃんと俺のこと、まっすぐ見てや」

そう言うと、食らいつくように激しいキスが降ってきたと思えば、中に入れていた指を2本に増やして出入りを激しくし始めた。
声を出したいのに口の中では蔵之介の下が私を追いかけ回し、こんなのじゃ何か違うことを考える前にこっちのことが気になりすぎて、そっちでおかしくなってしまいそうだ。

「あ、まって、くらっ、あっ・・・、あっ!」
「何?イきそ?」
「あ、うんっ、い、イきそっ、ああ、あっ、だ、だめっ」

その瞬間、声にならないような衝撃とともに体が痙攣したかと思うと、一気に脱力した。
体全身が心臓になったようにドク、ドクとものすごい早さで高鳴っている。
私の顔を覗き込んだ蔵之介に視線を合わせると、優しく微笑まれた。

「気持ちよかった?」
「そんなん、聞かん、といて・・・」
「ごめんごめん。もうちょいがんばってな」

私の中心に添えられたかと思うと、息をつく間もなく一番置くまで突き上げられる。

「あっ、まって、ああっ」
「んっ、きもちいわ、名前ん、中っ」

容赦ない蔵之介に思わすしがみついて、ただ私はそれを受け入れるだけ。
蔵之介は行為中もいつも私の頬を優しく撫でながらいろんなところにキスをしていく。
時々首元や胸元に吸い付いては赤い跡を付けていくのは、時々やり過ぎだと思う時もあるけれど、そうやってやさしく私を安心させるようにしている行為は嫌いじゃない。
蔵之介に愛されていることが、何よりも感じられる。

「く、くらっ、んっ、あ、あ、」
「ん?・・・なに?」
「すきっ、あ、ああっ、くらっ」
「ホンマっ、自分、知らんで、そんな、こと言うて」

さらに蔵之介の動きが激しくなって、私はさらに何も考えられなくなる。
目を開ければただ、蔵之介がいて、蔵之介が微笑んでくれていて、蔵之介が私に触れてくれる。
そうなるとテストなんてどうでもよくて、いつものように中途半端な点数をとってしまうのだろう。



外は静かに穏やかな雨が降り続いている。
蔵之介に私が潤いを与えられているように、穏やかな雨は春の訪れのために大地に恵みを与えている。








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