愛しさに思わずうなじに唇を寄せると等の本人はぶるりと体を強ばらせ、小さく声を漏らしてため息のようなものをついた。その小さないじらしい声を聞いてしまうのは逆効果だろうと言ってやりたい気持ちを抑え、そのまま舌を出してぺろりとなめる。今度こそびくりと体を反応させて、名前はやっとこさ声らしいものを発した。

「どうしたの?」
「・・・」

優しく聞いてやると逆に突っぱねるように無言になってしまう彼女はいつも通り素直じゃない。優しくすればその分離れるように嫌がるくせに、ちょっと強引にすれば困ったような表情を浮かべ目は涙で溢れる。普通に接する時とセックスでの掛け合いは同じだ。基本的に優しくされるより、ちょっと強引にされる方が好きな典型的なMと言えよう。
俺はだからと言ってSっぽさを元々持ち合わせているような人間でもない。普段の生活の中でも誰かのフォローに入ったり優しく声をかけてあげる方が自分の性に合っていると思っている。
だけど、ここ最近、名前と接していく中で彼女に対してだけは例外なのかもしれないと考えるようになった。

「名前」

ベッドにもたれかかってカーペットの上に足を立てて座る俺の足の間にちょこんと座っている名前をこうやって見下ろすようにしていると、名前が恐ろしく小さな女の子に見えてくる。特別小さいわけでもないのにそうやって見えてしまうのは、男と女という性別のせいなのか。それとも俺の彼女に対して持っている意識的なものなのか。

「名前」

名前を呼べばふるりと体を揺らし、ゆっくりと振り返った。
すでに目が潤んでいてこれから怒ることを予期している。

「なに、そんな顔して。誘ってるの?」
「ち、違う・・・」

そう言って視線を前に向けると目の前のテレビを食い入るように見つめていた。
ちょうど今日でテストが終わり、半日しかないということで遙も一緒に3人で帰ってきた。昨日録画した映画を見たいというのでそのまま俺の家に名前が引っ付いてきたのだ。今日は下のふたりは学校の後そのまま習字の習い事で6時過ぎまでは帰って来ない。母さんもそのお迎えで一緒に帰ってくるだろう。父さんはいつも通り仕事で7時まで帰って来ない。
名前にはそれを家に入る前に事前に伝えている。

俺がばさりとベッドの上に両手を投げると、その音にびくりと体をこわばらせた。テレビを真剣に見ているふりして絶対に集中できていない。さっきから耳だけ俺の方に集中させている。
なんだかそんな彼女がけなげで可愛らしく、こうしていると思わずいたずらをしてしまいたくなる。そろりと音を立てぬように右手を彼女の腰にまわすと大げさだと言ってしまいそうなほど大きな反応を見せる。そしてその後おもしろいぐらいに何もないようなそぶりをする。
そのまま左手も腰にまわし、引き寄せるように力を込めて首筋にまた、唇を寄せぺろりとなめる。

「っ・・・」

一瞬息をのんだ名前は、そのまま俺の右手をぎゅっとつかむ。離してほしい合図ではなく、むしろすがりつくような仕草で。
そのままきつく吸い上げると、ぴくりと体を反応させ、抗議の言葉が発せられる前に左手を右頬に伸ばして少し強引に振り向かせる。そのままかわいい小さめの唇に噛み付くようにキスをすると、俺の右手をつかんだ指に力が入った。
驚いて少し空いた唇の間に舌をねじ込んで、名前の舌を舐めてやるとくぐもった声が漏れる。右頬に添えた手をするりと滑らして耳の淵を指先でつつっと撫ぜてやる。するとそれが気持ちいいのかさらに口が開いたところを奥へ奥へとねじ込んでいく。

「ん、っ・・・」

自然に漏れてしまうような声の方がよっぽど興奮するのは俺だけだろうか。その声に下半身が熱くなる。そのまま手を後頭部に移動させ、髪の毛を優しくくしゃりと撫でてやると、それは俺からの合図だ。ゆっくりとだが俺のキスに答えるように舌を動かし始めた名前の舌を舐めてやるとぶるりと体を震わせる。そしてゆっくり唇を離し、下唇をぺろりとなめて顔を覗き込むともう真っ赤な顔で俺の目線にあわせてくる。
ここまでくればどちらが仕掛けたのか分からなくなってくる。











テレビからはクライマックスに入ったようで激しい音が流れているが、その音にまぎれるように名前のせつげな声も部屋の中に響いている。
ぺろりと脇腹を舐めれば嫌だと訴えるように俺の頭に手が添えられ、押し殺したような声を漏らす。俺はその手をやんわりと自分の手で握り返すと、もう一度骨盤の骨が出っ張った辺りをぺろりとなめ、最後にきつく吸い上げるとまた1つ、赤い印がついた。

「まこ、それだめって、」
「いいでしょ。ここは見えないんだから」
「けど体育の着替えで見えちゃうかも」
「それぐらい大丈夫だって」

そう言って顔を上げると眉をつり下げた名前と目が合った。にこりと微笑むと今度は怒ったように眉をつり下げる。まるでシーソーをしているようだ。

「名前は優しくすると怒るよね」
「そんなことないよ」

ゆっくりと体を近づけて名前の顔の両側に手をついて頭を優しく撫で、鼻と鼻がくっつくぐらい近づくとさらに眉を吊り上げる。

「でも、ちょっと強引にするとすぐにおとなしくなるよね」
「・・・そんなことない」

おでこをこつんとあわせると視線をすっと外された。

「まこ、・・・きゃっ!」

何か言おうとした名前をそのまま急にぐるりと体を反転させて仰向けにさせると、そのまま肩に唇を寄せ、しつこいほどに舐めていく。
名前の背中はすごく魅力的だ。右肩に小さなほくろがあって、二の腕の裏っかわにも小さなほくろがある。そして背中のちょうど心臓の裏っかわにほくろが2つ並んでいる。そのほくろを見るたびに思わず唇を寄せてしまう。

「んっ・・・、それ、なんで、いつも」
「ん?なんて?」
「まこ、背中好きなの?」
「名前だったらどこも好きだけど?」
「ばか」

ちょっと照れたような最後の言葉に満足した俺はそのままするりと左手を内股に通わせ、いやらしくなで上げると、体がびくりと反応する。背中に唇を寄せ、2つ並んだほくろを何度も舐める。

「名前」
「んっ・・・」
「お尻あげて」

布団に押し付けていた顔を少し横にずらし、俺の顔をちらりと確認する。眉を寄せ、恥ずかしそうにしながらゆっくりとあげる姿もいじらしい。その恥ずかしい動きがさらにいやらしさをあげているというのにも気付いていないらしい。
音を立ててお尻にキスをしながらパンツをずらすと視線の端の方にうつる名前の小さい手が布団をぎゅっと握りしめていた。こうやって体を重ねる行為をするのは今日が初めてというわけでもないのに、なかなか慣れないのも困ったものだ。

「濡れてるね」
「・・・いわなくて、いい」

ゆっくりとパンツを脱がしていくのがどうやら相当恥ずかしいようでさらにぎゅっと布団を握りしめ、両足に力が入っている。
中途半端に太もものところでパンツを止めてやるとクロッチのところが少し濡れていた。

「脱がすなら、脱がしてよ」
「恥ずかしい?」
「・・・当たり前でしょ」

言い終わる前に自分で脱ぎ始めてしまった。その行為が自分の中心を俺にさらにさらけ出すことになっていることには気付いていないようだ。
俺は思わず片足にまだ引っかかっているパンツを最後まで脱ごうとする名前の左手に自分の手を添え、もう片方をお尻に添えてちゅっと音を立てて吸い付く。ぴくりと反応して止まった手を催促するように最後まで脱がしてやる。ぱさりとそのままパンツを布団の上にほり投げると、そのまま中心部へとその手を伸ばした。
触れた瞬間、ぴちゃりと冷たさが伝わる。また、足に力が入ったのを抜くようにゆっくりなで上げ唇を寄せたがそれは逆効果のようで、足の指先までぐっと力が入った。

「あ、んっ・・・!」

濡れた秘裂の入り口をなぞるように撫でてやるとふわふわと高くあげたお尻を揺らす。

「名前」

名前を呼ぶと、顔をゆっくりとこちらに向けた。お尻に添えた手を名前の手に添えてやると、悔しそうにまた眉がつり上がる。名前のこの表情はこうやってされている恥じらいからの抵抗の意味もあり、そしてさっきからやんわりとじらされていることへの腹立たしさも含まれている。決して本人は本心を言うわけではないのだが、表情が分かりやすすぎる。
俺は思わずふと笑みを漏らすとゆっくりと名前を横たえ、その上に覆い被さる。つないだ手はそのまま、布団の上に縫い付けるようにぐっと力を込めて見つめてやると、今度はまた眉をつり下げ切ない表情を浮かべる。背筋にぞくりとした何とも言えない快感が走った。
いつもだったら触っていいか聞くのだが、今日は何も言わずに足をぐいっと大きく広げると、名前は驚いたように目を見開いた。声を出す前に中心のそこへゆっくりと指を進める。中は十分濡れていて1本の指では痛みもないだろう。

「あっ!まって、んんっ」
「待たない」

耳をゆっくり舐めながらそうつぶやくと体全身でびくりと反応し、そのままゆっくり出し入れを始めるとその動きにあわせ体が反応を見せ始める。耳の形を確かめるように舐め、そのままゆっくり中を舐めながら、下を触る手も休めない。一緒に膨れ上がった入り口近くの芽も優しく濡れた指でこすってやるといっそう大きな声を上げる。

「あっ、やっ、やだあっ、あぁっ!」

ゆっくりと指を2本に増やし、ぴちゃぴちゃと音を立てながら耳を刺激する。それが一番感じるらしく名前は握った俺の手をぎゅっと握り返してきた。

「んっ、気持ちいい?」
「あっ、んあっ、だ、だめっ」
「やめたいの?」
「あっ、っ、ま、まこっ」

耳からゆっくり首筋をつつっと舌で刺激し、そのまま体を起こすと何も言わず名前の中心部へと顔を近づけた。さっきの刺激にぐったりしていたと思えば俺が下半身の方へ移動していることに気付いた名前は驚いて上半身を持ち上げる。

「や、やだよ。まこ、」
「やめないよ」

そう言ってすっと俺が笑顔を消すと、その瞬間名前はまた眉を寄せ、切ない顔を作る。その瞬間背中を突き抜けるようなぞくぞくした快感が駆け巡る。
膨れ上がった芽を舌先で刺激すると両足がびくりとおもしろいほど反応し、名前の両手が俺の頭に添えられた。押し出そうとしているのか、それとももっとしてとせがんでいるのかどっち付かずの手は俺を逆に興奮させる。

「ああっ!、や、あんっ、あ、あ、ああっ」

さっきのとは比にならない大きな声を上げ始める。名前はここを舐められるのが一番感じるらしく、嫌がるわりに一番声が大きい。舌でなめながら唇で挟むように刺激するとよほど気持ちいいのか足がびくびく反応し、足の裏がそのまま俺の肩に添えられる。だからと言って足で肩を押すわけではない。なんとか快感をやり過ごそうとしているようだ。
そのまま、秘裂へと指を進め、ゆっくり1本入れおなかの中を引っ掻くように撫で上げると俺の頭に添えた手の力が強くなった。

「まこっ、まこっ!あ、あああっ、あんっ」
「なに?」
「ぁん、ああ、んっ、もぉ、やだぁ、・・・ふ、んっ!」

ついに恥ずかしくてたまらないのか片方の手を口元に寄せて声を殺し始める。そうやってしたって今日はやめる気はさらさらない。
時計をちらりと見た。時刻は午後2時半をすぎたところ。普段なら下の2人がいてなかなか名前とこうやってすることはできない。今日は十分な時間がある。

「名前」
「んっ、ふうっ、ぁ、ぁん」
「イきそ?」

もう返事もなくびくびくと体を揺らす。

「ねえ、イきそうだったらちゃんと言ってね。今日はいつもよりも可愛がってあげるから」
「ふ、ん?まこちゃ、ん?」
「ちゃんと言えたらいれてあげるから」

そう言ってまた唇で刺激をおくると指を入れたままの中がびくびくと反応し始める。名前の呼吸もだいぶ乱れ、もうそろそろだ。

「ほら、イきそうなら言わないと、今日はやめないよ」
「あ、ああ、や、まこ、まこぉ!」

そう言って俺の名前を呼んであっさりと名前はイってしまった。びくびくと体を震わせ、ぎゅっと布団を握りしめて。

「あ、あ、あ、ああっ」
「あーあ、なんで言わないの」

そう言って中に入れたままの指とは反対の手で名前の頭をゆっくり撫でてやると、今にも涙が溢れ出しそうな瞳が俺をとらえる。唇をぎゅっと噛んだ表情を見て、おもわず中の指を動かし始めると、名前は小さく声を上げた。

「だから、言ったでしょ。今日は名前がちゃんと言うまでいれないって」
「まこ。や、今日、どうした、の?んんっ」
「名前があまりにかわいいからちょっといじめたくなっちゃった」

そう言って唇に触れるだけのキスを送る。
だからと言ってほっとした表情なんて浮かべさせない。

「その名前の表情見てるとぞくぞくして止まんなくなる。ほら、ちゃんと気持ちよかったら気持ちいいって言わないと、終わらないよ」

こんなこと一生の中で言うこともなかっただろうに。こんなことを言わせるようにしむけたのは彼女だ。
目を見開いてまた上擦った声を上げ始める名前の顔は快感と少しの恐怖が見える。
でもやめない。これからが本番だというようにまた唇を寄せると名前の甘い声が部屋の中を満たす。すでにテレビの中はエンドロールが流れているが、俺たちはまだまだ中盤にもさしかかってもいない。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -