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一日目夜
伊月は誠凛のメンバーが粗方アドラー号に潜入してしまった後も、本部に残りパソコンと向き合っていた。何面にも設置されたモニターには、写される情報を待ってスクリーンセイバーが動いている。ピピ、と電子音がして伊月の見ているメインモニターの端にメールの受信を告げるアイコンが瞬く。
「お、キタね」
ダブルクリックで、メールを開けば潜入中の火神からだった。書かれている人物は全部で十二名、これがロイヤルスイートにいる乗客なのだろう。
「これはこれは、かなりの…」
ざっと名前を知っている奴等だけでも上院議員にカジノ王。後は知らない名ばかりだったが調べればそのうちに明らかになる。「鷲の目」と称される伊月のスキルにかかれば、この場にいながらにして世界中のあらゆる情報が非合法にしろ合法にしろ手にはいる。
「さて、手始めに議員さんからいっときますか」
伊月はカタン、と小気味よい音をたててキーボードを叩いた。
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