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ある王様の話 - 1



ミサキはこの学校の王だ。生徒はもちろん教師陣すらミサキには逆らえない。
そこまで辺鄙でもないけれど、田舎と呼ぶには支障のない閉ざされたこの町では、地主の息子であるミサキは王なのだ。

(小さ目だけど)ビルだってあるし、娯楽施設だって当然ある。それでも地主は商売もやり手で、この町の商いはすべて地主が牛耳っていると言っても過言ではない。
だから辺鄙でもないこんな町で、地主をはじめとしたその親族たちは大きな顔をして生きている。そしてその息子であるミサキは間違いなく、この学校の王だ。


「ね、ミサキぃ、このまま抜けようよ。二人でさ……ね?」


膝にまたがりシャツを大胆にも開き、役目を成さない下着から覗く乳房を擦りつけながら、その子は媚びるような甘い吐息を吐きだし自分の唇を相手の唇に押しつける。
相手は、ミサキはそんな彼女になんの抵抗も見せず、しかし口を開こうとはしなかった。


「ミサキぃ、ねぇみさきぃ……私、もう我慢できないよ……」


軽く腰を前後に振りながらミサキの唇を舐める彼女の舌は柘榴のように真っ赤で、ゆくりなく簡単に潰れてしまうほどに熟れていた。
そんな二人から視線を逸らす。とはいえ長方形の密室では至る所で男女が弄り合っているので、俺の視線はどこに向けていいのか分からない。とりあえず被害の少なそうな床を見るが、暗い密室でも充分知覚できる白い斑点と化した液体や、投げ捨てられた避妊具に吐き気がこみあげてしまう。

口を押えて席を立つ。瞬間、手首からカチッと音がして、俺は逃げることもできずにまた、同じ場所に腰を下ろすのだった。

それから二時間後、結局彼女はなんの反応も見せないミサキに痺れを切らし、勝手に跨り腰を揺らして快楽を貪っていた。他の面々も相手を変えて楽しんでいたが、俺は密室に広がる嫌な臭いが制服に染み込んでしまった気がして、正直、焼き捨てたかった。




 


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