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俺のアドバイスを聞き、すぐゲームに集中し始めたそいつをしばらく眺め、思い出したように鞄から弁当を取り出す。
コンビニで買っておいたお茶を飲みながら、弁当を開けた。


「また弁当? 手作りだっけ? すごいよねー、俺料理できる人って尊敬する」

「……それじゃあ大抵の人間はお前に尊敬されるな」

「えー? 女は別だよ?」

「それでも、だ。料理くらいできる男がこの世に何万人いると思ってんだよ。最近の男はなー、料理教室にまで通ってんだぞ」

「マジー? なにそれすげくね? 俺無理なんだけど」


手に持った懐かしのGBから視線を外すことなく、隣の席である内山は楽しそうに笑う。
俺はそんな内山を横目で見ながら黒板にでかでかと描かれた作者不明の巨乳ねーちゃんのらくがきを見た。
くびれすぎだろ、キモいわ。


「つーかトラちゃんバイトの面接どーだったの?」

「あー……ダメだった」

「またぁ? ぎゃははっ! ここまで来るとうける!」

「……俺は全然面白くないんだけどな」


敵を倒すことに成功したのか、内山は片手でガッツポーズを取るやいなやGBから視線を外し、俺のほうへとニヤついた顔を向けた。


「だってさぁー、トラちゃんがことごとく面接落ちる理由って、玲央さんのせいっしょー?」

「……まぁ、な」


玲央(れお)――朝日向玲央、俺の実の兄であり、この高校の最高権力者。そして……県内一の不良チームのトップである男のことだ。

この男のせいで俺は面接に落ちている。それはなにも皮肉などではなく、事実だ。
面接にて兄と名字が同じだと軽く言葉を交わし、もしかして知り合い? みたいに聞かれてしまえば、俺は濁しながらでも「えぇ……まぁ……」なんて答えるしかない。
それを聞いた途端、面接官たちは顔を青くし接客スマイルにもなっていないそれを浮かべながら言うのだ。


『そ、そうなんだー……あはは』


そして後日、電話にて伝えられる言葉はいつも一緒。今回はご縁がなかったということで。




 


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