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「玲央……あの、」

「は?」


贅沢な広さを持つバスタブに悶々としたまま長々と浸かり、茹った頭で脱衣所に用意されていた浴衣を羽織って部屋に戻るが、出入口で恐る恐る顔を覗かせた俺に玲央が目を丸くした。それもそのはず、俺の浴衣の着方はめちゃくちゃだったのである。
いや、言い訳させてくれ。こちらを見る玲央からそんな思いで目を逸らす。


「着方知らなくて……お、教えて、ください」

「……」


おおよその想像で着てみた浴衣はなんだか汚くしわが寄ってしまい、正直人前になど出れる代物ではない。
さっきの今でこんな馬鹿をしでかす俺に言い訳をする余裕もなく、羞恥心で顔を逸らす俺に一度息をついた玲央は持っていたグラスをテーブルに置いて近寄ってきた。つま先から頭の天辺まで舐めるように眺めたあと、


「誘ってんのかと思った」

「さそ……っ」


なんて軽口をひとつ。
動揺する俺の反応をくつくつと笑いながら、玲央は俺のめちゃくちゃに乱れた浴衣に手をかける。


「いつもと違うな」

「え?」

「風呂上りの匂い」

「ふ、」


またも動揺する俺を無視し、手際よく浴衣を直した玲央に頭をぽんと撫でられて。


「俺も入ってくる。上がった頃には夕飯だから、つまみ食いすんなよ」

「……はい」


先ほど流れていた空気を微かに匂わせながら、上機嫌な玲央は風呂へと向かっていくのであった。

ほどなくして玲央が風呂から上がった頃、備え付けの救急セットを持って構えていた俺に「なにやってんだ」と一蹴する玲央を無理やり座らせて、先ほど想像以上に深く傷つけてしまった箇所を丁寧に消毒した。
匡子さんに「怪我はしないように」と言われたばかりだというのに、つい衝動にまかせてとんでもない過ちを犯してしまったと冷静になる。しかし慌てる俺に反して玲央はとても機嫌が良くて、俺は心の中で誰とも言えず謝罪の言葉を呟くのであった。




 


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