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「どんな事情があるか分かりませんけど、こんだけしっちゃかめっちゃか事荒げておいてまだ、司さん……アンタ豹牙先輩に謝ってないでしょ? 俺があのマンションで言ったこと、まだ実行してないでしょ?
おまけになんです? 俺を利用するにしてもその監視役が新山さんってなんです?
毎日毎日うざくて夜も眠れませんでしたよ。見てくださいこのクマ、二徹した雄樹よりひどいですよ。
それになにより一番ムカつくのが、俺を騙すために、アンタの計画の為に玲央に嘘をつかせたことだ」

「……えぇと……」


一体どこから突っ込めばいいのか分からない。そう顔に書いてある司さんに笑みを深くすると、彼は肩を震わせて俺を見た。


「だからまぁとりあえず、一番傷つけた豹牙先輩に謝ってください。この場で、今すぐ、さぁ早く」

「……ご、めんなさ……」

「なに俺に謝ってんですか、そもそもそこに座って謝罪とか舐めてんですか?」


そう言うと、なぜか隣にいた豹牙先輩まで驚きに身をビクつかせる。
そもそもこの場にいる全員が目を丸くさせていた。

シン……と静まる空気を壊したのは、カウンター内から出た豹牙先輩だった。
彼は固まる司さんのほうへ近寄ると、目を合わせて互いになにかを思惑する。次の瞬間、司さんが視界から消えた。豹牙先輩がぶん殴ったらしい。


「仕返しだ。これでチャラにしてやる」


と、豹牙先輩。あまりの格好良さに思わずため息が出てしまった。
さぁ、ふつふつと沸くお粥が頃合いだ。俺は彼ら全員の前にお粥を出す。


「さぁ召し上がれ。あ、普通のお粥なんで大丈夫ですよ?」


にっこり。笑う俺に皆の口の端が引くついている。
普通じゃないお粥ってなに? チョコレート粥を知らない隆二さんの声だけがその場に響くのであった。




 


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