×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

22 - 5



あれから無事帰宅した俺と豹牙先輩は、付き添っていた西さんも一緒になって仙堂さんに叱られた。新山さんは後ろで笑っていたけれど、そのウザさにキレた仙堂さんが彼を殴った隙を見計らい、西さんはとっとと帰っていった。

不覚にも、ほんの少しだけ気持ちが軽くなったと思う。それを素直に認めてやるのは癪だが、いい加減甘んじるのは辞めにしよう。


「豹牙先輩、今日はお粥にしてみました」

「……や、わりぃけど俺は」

「ダメです、俺は今日から心を鬼にします」

「は?」

「豹牙先輩が食べないなら、俺だって新山さんだって仙堂さんだって食べません!」

「はぁ?」


おいおい小虎くーん? 俺たち関係なくなーい? なんてぼやく新山さんをキッと睨む。


「関係なくなんてありません。いい大人が寄って集ってなんですか、みっともない」

「えぇ? ちょ、仙堂、小虎くんがおこだ。激おこだ」

「新山さん、今は真面目に聞いたほうが良いと思いますよ」


怒る俺を冷やかす新山さんに、仙堂さんが頬を殴る。少しだけ気分がすっとしたことは言わないでおこう。くるりと豹牙先輩に向き直ると、彼は唖然とこちらを見上げていた。


「豹牙先輩も豹牙先輩です。あんな動画一つ見たくらいでなんですか。あんなスプラッタ映像、豹牙先輩ならリアルで見てるでしょ?」

「……や、さすがに爪を剥ぐのは俺も……」

「人を殴るのも爪を剥ぐのも似たようなもんです」

「いや、違うだろ……」

「いいえ、違いません。人が人を傷つけてることに違いはありません」


ピシッと言い放つ。論点がずれていることに俺自身突っ込みたかったが、誰一人として口を開こうとはしなかった。


「いいですか、豹牙先輩。あの日、俺が新山さんなんかに連行されたあの日、豹牙先輩は俺に今回のことを話してくれるといいましたね? 俺、ずっと待ってたんですよ? なのに先輩は日に日に弱っていって……俺、聞く勇気が出ないじゃないですか。ずるいです、先輩はずるいですよ」

「小虎……」


立ち上がろうとした彼の肩を、しかし俺はグッと抑え込む。




 


しおりを挟む / 戻る