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「ごめ……っ、ごめ、なさい……っ、おれ、俺、なんにも知らなくて……なのに、あんなワガママ、いっぱい……っ!
玲央、が、傷ついてるのも知らないで、俺ばっかりワガママ言って、ご、ごめん、なさい……っ!」


しゃくりを上げながら、だらしなく涙をこぼして頭を下げた。

離婚の理由は玲央の俺への暴力だと聞いていたし、玲央が親父に暴力を受けていたことなんて知らなかった。
なのに俺は自分ばかりが被害者だと思い込んで、玲央の過去を知ろうともせず、我儘ばかりで振り回してきた。
玲央は、玲央はそんな俺にちゃんと歩み寄ってくれていたのに、俺は兄貴としての玲央しか見ていなかったのだ。


「……クソったれが俺に暴力をふるっていたのは本当だ。けどな、俺がお前を最初に殴ってからだよ」

「……で、も……っ! 理由、が、あったん……でしょ……?」

「……さぁな。あんなクソったれの考えなんて俺には分かりもしねぇし、分かりたくもねぇ。けどな、だからって俺がお前を殴ってきたことを正当化する気はねぇよ。小虎、お前は被害者だ」

「……ふっ、……うぅ……っ」


本当はどんな経緯で玲央が俺を殴り、玲央が親父に殴られていたのかは分からないけれど、それでも親父から受けた暴力のせいで俺を殴っていたと、決して親父のせいだと言わない玲央が、どうしようもなく愛しい。
俺はそんな玲央に首を横に振り、声にならない感情を必死に伝えようとする。


「……馬鹿トラ、ほら見ろ、これがおふくろだ」


なのに玲央はあえて俺を無視してアルバムをめくった。
ついそちらを見てしまうと、そこには赤ん坊の俺を愛おしく抱きしめる一人の女性の姿が写っていた。


「……かあ、さん……?」

「あぁ、美人だろ?」

「……ん」


黒い重みのある髪は真っ直ぐ腰まで伸びており、優しそうに目尻の下がる瞳は一心に俺を見つめている。
整った顔立ちは、母さんの膝に手をついて俺を覗き込む幼少の玲央と、とても似ている。




 


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