部長会議
結局言えなかった。
その後悔がしこりみたいに心のどこかに引っかかっている。でも、言ったところで取り合ってもらえるかわからないし、と言い訳めいたことを考えた。
もう帰ろう、と教室から出ようとした時「自分ちょっと待ち」と声をかけられる。私を引き留めたのは、背筋のしゃんとした、バレー部主将の先輩だった。
「あの…?」
なんだろうと次の言葉を待っていると「自分、なんか言いたいことあったんとちゃうか」とその先輩は言う。
「え、」
「チラチラ司会見とったやん。遠慮せんでええんやで」
「でも、私…2年生だし、出しゃばるのはよお無いかなって…」
うじうじとした私の様子に、先輩は「今日は部長会議や。みんな部長っていう対等な立場で話しとる。学年は関係ないで」とぴしゃりと言った。
ハッとした。そうだ、部長。小さな部活でも、2年生でも、私は部長として部の皆を代表してここに来てるんだ。言わなきゃ、文化祭もっと広い場所使わせて下さいって。
「あの、私、いってきます!」
「がんばりや」
「はい!」
私の決意にニコッと笑った先輩が優しく背中を押してくれた。私は踵を返して、今日の会議内容を確認している文化祭実行委員のもとへ向かう。
いわし雲が空に浮かび始めた秋口のことだった。
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