×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
愛しき者の姿を

草木が生い茂る場所に佇むある研究所。
その研究所に向かっているらしい、一体の男性ロボットの姿があった。
頭から炎を出し、顔にはマスクらしきものを付けている彼の名は、ファイヤー。
仕事の帰りだったが、普段より長引いてしまい、辺りは既に暗い。
就寝する時刻は過ぎていた。
研究所へとたどり着くと、ファイヤーは扉をそっと開き、中へと足を踏み入れる。
そうして音を立てぬよう静かに扉を閉めた。

研究所内は静かだった。
ただいま、と小声を出し、ファイヤーは自室へと向かう。
仕事場で夜食や風呂をすませてきたため、残りは就寝のみだった。
廊下を歩いていると、一室から明かりが漏れていることにファイヤーは気付いた。
明かりが漏れたその部屋は、ファイヤーが愛する存在、エレキの部屋。
既に寝ていると思っていたファイヤーは驚く。
気になり、エレキの部屋へと向かった。

扉は微かに開いていて。
ノックするより先に、ファイヤーは声を出していた。

「エレキ?」
「ん…ファイヤーかい?」

仮面のような物をつけた男性ロボット――エレキは、椅子に座り本を読んでいた。
ファイヤーの声に気付くと立ち上がり、扉を開けようと歩み寄る。
そうしてゆっくりと開くと、微笑みながら声を出した。

「帰っていたんだね、おかえり」
「おう、ただいま、エレキ」
「遅くまでお疲れ様」

部屋へと入るよう促すエレキ。
ファイヤーはおう、と声を出し部屋へと足を踏み入れると、ベッドへと腰掛ける。
その隣にエレキが座った。

「まだ寝てなかったのか?」
「ええ。…中々、眠れなくてね」

苦笑いしながらそう言うエレキ。
ベッドへと上半身を倒し、ファイヤーも苦笑いした。

「眠れねえ時って嫌だよなぁ。次の日エネルギーが満タンにならなくて困る」
「E缶を飲んで溜まるエネルギーとはまた違ったものだね」
「そう。なんて言うんだろうな、ココロのエネルギー…か?」
「そうだね。分かるよ」

ファイヤーとの会話に、エレキの表情は自然と笑顔になっていた。
愛する者の姿を見ることが出来、こうして何気ない会話をすることが出来ることに喜びを感じているからだ。
そうしている内に時間が経ち、ファイヤーがあくびを漏らす。
それに気付いたエレキが慌てた様子で謝罪する。

「ごめんよファイヤー…長話してしまったね」
「そんな事良いって!…眠れそうか?」
「ええ…ありがとう、ファイヤー」

太陽のように輝いた笑顔を見せるファイヤー。
子供のような無邪気な顔、エレキのコアは高鳴った。
ファイヤーは起き上がると、ハンドアームとなった手をエレキの頬へと持っていく。
そうしてマスクを下にずらすと、エレキの唇にキスを落とした。
長く、離れてはもう一度、今度は少し長めに。

「…愛してる、エレキ」
「ワタシもだよ…ファイヤー」

おやすみ、そう言ってファイヤーは部屋を後にした。
眠れないと真意を誤魔化し、本当は自分の帰りを待ってくれていたエレキを愛しく想いながら。
会話中にエレキが零したあくびを思い出しながら、ファイヤーは柔らかい笑みを浮かべるのだった。

***

ファイヤーの顔を見てから寝たい…っていうエレキが書きたかったんです。
炎電小説は思えば初めてでした…!
少しづつ増やして定めていけたらと思います´`* 2015/1/24
[*前]【TOPへ】[次#]