Prayer to the endの続編


綺麗なお花畑で再会、そんなロマンチックなことを夢みていたわけじゃないけれど、なにも生きた象の背中でなくても。なんて安心からきた憎まれ口だね。
すらりと伸びた長身。すらりと伸びた愛刀。紛れもなく、私たちが信じて待ち続けていた姿がそこに存在した。
船長!と叫ぶ涙声がいくつもあがり、正面に突進していく。気付いたら私の周りには誰もおらず、待ちに待ったその姿も取り囲まれて見えなくなっていた。
なんだか別れのときを思い出す。今と同じように皆から少し離れた場所でこうして他人事のように傍観していたっけ。

「あれ!?あいつどこに……いたっ!」
「もーお前なにやってんだよ!船長が帰ってきたんだぞ!?早くこっち来いっ!!」
「走れ走れ!ったくよォ!!」
「アイアイ!もう空気ぶち壊さないでよね!」

すごい顔で泣きながら怒ってるから、ベポの警告を即刻無視してまたもや噴き出してしまった。
クルーの群れから抜けて歩み寄ってきた姿をじっと見つめる。
おかえりや待ってたよなんて言葉はいらなかった。あのときのように小さなその顔を両手で包み、存在を確かめるように頬をひと撫でする。切なげな瞳とわずかにあがった唇の両端。こんな表情を見た日は今までなら身を引き裂かれるような思いに駆られていたけれど、もう違う。
感触も香りもなにも変わらないのにまとう空気だけは変わっていて、あきらかに軽くなったそれに私はひどく安堵して泣きそうになってしまった。背負っているものが少しでも軽くなったことが何よりも嬉しい。
つよくつよく抱きしめ、もうどこにも行かないでとつよくつよく想う。

「ボロボロじゃん」
「お前もな」
「戻ってきたね」
「お前を抱き締めにな」
「ね、だから言ったでしょ」

得意げな声をあげると頭上で短い吐息がこぼれる。背中にまわった腕の力も強まった。信じ抜いた結果私も彼も思いを遂げた、こんなに素晴らしいことが他にあるだろうか。
縛られ、苦しんだ13年間をいったいどんな気持ちで過ごしてきたのか私には到底計り知れない。「理解したい」なんて軽率な気持ちは侮辱になってしまうような、重く深い闇。そこから這い出して想いを遂げようとも、失った大切な人たちは決して戻ってこない。


「……受けた愛に理由をつけるな。そうセンゴクに説教されたよ」
「元・元帥にお説教されるなんて羨ましい」
「……ただのジジィだ」

亡き家族、そしてあの彼がローに注いだ愛は此処にも同じように、こんなにもたくさん存在する。そこに理由なんてない。ただただ愛している。
わかってね、ロー。


空は青い、海は深い、
明日を生きる、今日を愛す


もう何にも縛られず生きよう
思うままに 自由に
一緒に、生きていこう。


thanks/誰そ彼
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