「なんだぁ?名前、そのボロボロの本」 「ん〜?バスケのルールブック」 「珍しく本なんか読んでると思ったら。花道に続いて名前もバスケか〜?」 「でも湘北に女バスはないだろ」 昼休み。屋上でルールブックを読んでたら、高宮と大楠とチュウが来た。 流川から借りたルールブック。あの日の翌日、流川は言った通り私にルールブックを貸してくれた。ボロボロで、一目で読み込まれていると分かる本だった。参考書のように所々赤いラインが引いてあったりして。小さい頃に一生懸命覚えたのかな、と思って微笑ましくなる。 「ルール、覚えようと思って」 「肝心の花道が覚えてないのにか?」 「あーっはっは!ちがいねぇ!」 「お前のじゃないだろ?誰に借りたんだよ?」 隣に座りこんできたチュウは不思議そうな顔でルールブックを覗き込んでくる。 「流川」 「「「る、流川〜!!!?」」」 どわっ!と声が重なって煩い。コイツらが集まっちゃもう読めないな…そう思って本を閉じた。 「なんで流川!?」 「お前ら、本の貸し借りなんてする仲なのかよ!?」 「いつの間にそんな仲良くなったんだよ!?」 「あーもういっぺんに喋んないでよ」 「お?なんだ、流川がどうした」 遅れて洋平がやってきた。花道が一緒じゃないのを見ると、体育館で自主練かな。 「洋平!俺たちの知らない間に名前を流川に取られそうだぞ!」 「は?」 「取られそうになってないし、流川とはそんな仲じゃないし。本から飛躍しすぎ」 何言ってんだ、って顔をしながら洋平はチュウとは反対の私の隣に座った。 「あのね、バスケのルール覚えたいっていう話を流川にしたら、ルールブック貸してくれたの。それだけなのよ?」 「流川と話したのか?」 「うん」 ちょっとビックリ顔の洋平を置いて、話を続ける。 「図書館のルールブック読んでたら、オレのヤツの方が分かりやすいって。本当に分かりやすくて助かっちゃった」 「…あの流川がねぇ」 「なに、その反応」 よく分からない反応をされた。流川に本を借りることがそんなにおかしいのだろうか。 「それより、今日も練習見に行くでしょう?」 「おう」 「次の試合、海南だっけ。楽しみだなー」 桜木軍団の女02.5/2017.02 |