幸せの色は、白。




 幸せに色があるのなら、それはきっと白に違いない。
 そう考えてしまうほど彼女は美しかった。
 純白の衣装。ヴェール。何もかもが主役を惹きたてるために、燦然と輝いていた。

 恋は火薬に似ている。

 一度は湿気っても、離れて、それが乾いた頃に静電気みたいな小さな刺激で、弾ける。
 この会場に俺の中のこいつを蒔いて火をつけたなら、どれだけ清々することだろうと、黒い思考が巡る。

 幸せになるんだ。何を失くしてもいいから、絶対に幸せになるんだ。


 どんなクソ野郎だって、その権利だけはある。自由と言い換えてもいい。
 だからなるんだ。そう、なるんだ。
 何度やり直してもいいから、絶対に。

――怒りにも似た気持ちで、祈る。

 君は幸せにならなくちゃいけない。

 真っ白の中で艶然と微笑む君に、
 惜しみない拍手を送りながら、
 今はもう、大多数の友人のうちの一人でしかない、
 僕は、祈る。


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