初めて、姉のセシルを見た時、「キレイ」だ。と思った。
ただ、そういう風にしか思えなかった。

もしかしたら、俺はその時から、姉のセシルに恋をしていたのかもしれない。


初めて、弟の優雨を見た時、「かっこいい」と思った。
素直にそう感じた。

私はその時から、優雨に恋をしていたのかもしれない。


四月のある日。
桜井セシルと桜井優雨は、通い慣れた学校までの道を歩いていた。
セシルは「優雨が、もう高校生かぁ。」と優雨の歩く姿を眺めていた。
あんなに小さくて、「セシル!セシル!」とセシルを呼んでいた姿はもうない。
いつかは、優雨も結婚しちゃうんだな。と思うと胸が締めつけられるような感覚になる。

「どーした?セシル??」と顔を覗かれる。
そんな顔してたかな。と顔をあげ、「なんでもないよ。」と微笑む。

「そう?俺には、そうは見えなかったんだけど?」
ホント、優雨には、かなわない。

「優雨も結婚しちゃうと寂しいなぁ。って。」
「まだ先の事じゃん?それに、俺、結婚しないし。」
「なんで?教えてよ!」
「えー。やだ。」と言って優雨は、いたずらっぽい笑みを浮かべる。

「優雨の意地悪!」
「意地悪でいいもんねー。」
「可愛くないやつめ。」
「可愛いのは、セシルだよ。」と笑いながら言う。

「そ、そんなことないし!」と照れながら返す。

「俺さ、セシルが姉ちゃんで良かったなぁ。って思うんだよな。」
姉ちゃん。その言葉に息が詰まりそうになる。

「なんで?」
「だってさ、父さんと母さん死んでから、セシルが俺の面倒見てくれたし。だから、セシルには感謝してる。ありがとう。」


うちの両親は再婚して直ぐ、交通事故に巻き込まれ死んだ。
その時、優雨も小さくて、私には、何をすれば、いいのか正直分からなかった。
けれど、「私が、お姉ちゃんしっかりしないと。」と思った。
お金は、両親の貯金で何とか出来た。
セシルは高校生になるとバイトを始めた。
バイト代は、生活費と優雨のために貯金をしていた。



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