分解系。
作:西菜

蚕が揺れている。
悲しいから雪が降る。
腕が無いから、君はガラス製。
灰色なんだ。

笑ってる彼女を見ていた。
零れた。
羅針盤が回るから眠れない、溶けるのなら良かったのに。
溶けない光、ひとりぼっち街灯。
灰色なんだ。君は幽霊なんだ。

絵を描く。
尾びれが上手く動かない。
どこにいるの。
くらくら。
蚕が揺れている。
図鑑を読んでいた。
木陰。
無くなっちゃった。
笑えよ、私を笑えよ。

耳を澄ましてよ。
何も無いところから言う初めまして。
君は幽霊なんだ。君は灰色なんだ。
通話中。
何を歌おうか。
寒い22時。
足りないよ、無いよ。
なーんてね、おふざけだよ。

甘い水を飲む。
嘘みたいな琥珀色。
遠く遠く。
愛してるとテレキャスター。
写真も破ってしまおうか。

うるさい街灯、歩道橋。
エラ呼吸ができない。
嘘、嘘、嘘。
水色の風船も飛んでったよ。
踊りたくないから足を切った。
転んだまんま、君は灰色なんだ。

笑えよ、私を笑えよ。
嘘だよ、フィクション。
白をあげる、君は泣いていた。
鏡には映らないの。
嫌。
スローモーション君は誰?
眠ったらハッピーエンド。
おやすみ、なんて今日は言いたくない。

悲しいから雪が降る。
何色の傘を差そうか。
君は林檎を囓る。
8月のユーフォー、マヨネーズ。
上手に踊れてるなんて言わないで。

私がユーフォーだったら。
君が水色の傘を差していたなら。
今朝はガラスが凍っていたらしい。
時計の電池がいつの間にか切れていた。

悲しいから雪が降る。
何色の傘を差しても、キャンドル。
何も聞きたくないし君は灰色。
何も聞きたくないから大声で歌うよ。
君の夢が覚めなければ良いのにね。

迷子、落ちる夢を見た。
蚕が揺れている。
まだ割れないクッキ−と鉛筆。
遠くを見えないから絵も描けない。
綺麗な白。嘘をつく。

「あなたが何色でも愛してる」
皮膚感覚。行方不明。
時間の中に浮いている状態。羅針盤。
嘘をつく。綺麗な白。

悲しいから雪が降る。
四つ打ちを聞く。
通り過ぎる未来、スローモーション宇宙。
風邪が治らないの、嘘をついたから。
飛べないの、嘘をついたから。

何度も落ちる音を聞いている。
夢だったら良いのにね。
器用じゃ無いからワルツなんて踊れない。

くるくる回る音、光、針。
嫌、嫌、嫌。
止まってよスピーカー、何も聞きたくない。
なにも聞こえないし、私はなにも描けない。

雪が降るのは寒いから。
眠れないのは寒いから。
風邪が治らないのは寒いから。
嘘ばかり、馬鹿みたい。

音は二本の筋になってぷかぷか、くらげみたく飛んでいった。
君はガラス製、祈っている。
波は、羽は、飴は。
君は灰色なんだ。私は踊れないんだ。
嘘なんだ。

笑えよ、私を笑えよ。
流体の温度、知らないよ不等式。
エンターテイメント、狂ってる温度計。
ペーパークラフト、無いよ。飛べないの今日は。

だから、せめておはようって言わせて。

[22/42]
←BACKTOPNEXT→
しおりを挟む
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -