辞世
作:黒曜石翡翠

兎はさみしいと死ぬというが 果たして人は如何なものか
紅の目が蒼に染まれば 其れは人でなくなるが故
兎も人も同じもの 儚き一夜の夢物語
深い谷も高い山もなけれども 苦楽ある人生也
子孫残りしあと 傑物のあと秀物できるゆえんはなく
一代夢物語は 無論にして多い。

多聞にして 生きる者死するは必ずの理なれど
ぎやまんのびいどろを掻き抱く乙女の胸中に“悠久”と言葉あてども
なぜか 一人生を長きに持つこと叶わんや

夢に狂い明日を失いし者に未来は無かれども
我ただただ 自ら死ぬことのみを恐れ 生き続けるのみに
自傷しようとも臆病風に吹かれ
知識得ようとも役立つことなく
誰かが言った言ノ葉に感心し 誰ぞの辞世の句に心惹かれ
彼の者になり 然れども なれず ただただ生を貪るのみ

一編の言葉に込めし思いあれど
言魂というように 誰にしても一つ叶うる言葉あり
月と太陽 紅と蒼に
対比するもよし 交わるもよし
我が言ノ葉など 後に語られることもなく
死を待ち 死を欲し されども生き続けるのみ

もし来世が来るのなら
今一度
君を
一目見んと欲す

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いつの作品だったのか。おそらく高校時代(たぶん1年)のものであろう。筆ペンで書かれたものを見つけた。
ので掲載。たぶんこれが第3稿になると思われる。

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