日曜日の試合は無事、誠凜が勝ったらしい。次の試合も順調に誠凜は勝ち進み、そして予選トーナメントの決勝前日。
朝、門の前で彼に会った。『頑張ってね』と言えば満面の笑顔で彼に「あぁ!ありがとう」と言われ、なぜか顔が赤くなった。赤くなった顔を隠すように急いで教室へと向かった。
―――この時の私は、この後、あんなことになるだなんて思いもよらなかった。
◆
「名前!」
『木吉くん、』
毎日毎日やってくる彼。最低、1日1回はやってくる。初めは少し鬱陶しかった。けど、最近はよく話すようになり、そう思わなくなった。
「今日、一緒にご飯食べようぜ!」
『バスケ部の皆と?』
誠凜バスケ部の皆は仲がいい。よく皆でご飯を食べているから、てっきり皆も一緒だと思った。
「いや、二人で」
『へ?』
ドキドキと心臓が早くなるのが分かる。
『え?!二人?』
斜め前の友人がニヤニヤとこっちを見ているのが視線に入り思わず睨み付ける。
「相談したいことがあるんだ」
あぁ、相談、ね。そっか相談か。今まで勉強とかで相談してきたりとかあったもんね。きっと今回もそんな感じなんだろう。それとも明日の事かな?決勝だし、ああみえて緊張しているのかもしれない。なら相談に乗ってあげようじゃないか、と心を落ち着かせ、冷静に返事を返す。
『いいよ。じゃあ、お昼休みにそっち行くね』
「いや、俺、迎えに来るぞ?」
『いや、私が行く』
絶対、友人にまたニヤニヤした目で見られる!それだけは阻止したい
「わかった、じゃあ待ってるな」
休憩3分前のチャイムがなり自分の教室へと戻る木吉くん。
「今のやり取り恋人みたいだったよな」
いつの間にか戻って来ていた伊月くん、日向くんが話し出す。
『どこが』
てゆーか、見てたのか
「まぁ、アイツの彼女とか絶対、疲れるぜ。主にツッコミにな…」と、呆れた表情の日向くん。…相当、ツッコミに苦労してるんだろう。
『うん、それは思う』
うん、うん、と頷きながら私は深く同意する。
「まぁ頑張れ」
伊月くんに爽やかな顔で頑張れと言われたが、何の事か分からず、キョトンとしてると
「色々」と言われた。そして、チャイムがなり、授業が始まった。
◆あと4時間
(昼休みまで長いな…)
20140529編集