49 血縁(女性陣)

都築千穂が雪村千鶴の子孫かもしれない、という速報はその日の夕餉には発表され、皆を驚かせた。

私と千鶴ちゃんは、どうしても二人きりでゆっくり話がしたかったので、話し足りなさそうな皆を尻目に、

さっさと食事をすませ片づけを押し付けて、千鶴ちゃんと部屋に戻った。



「ごめんね、急かして。早く二人きりになりたかったんだ」

「いえ。私も。たぶん同じ事ですよね?」

「うん、体のこと。他の皆は家紋と名前だけで色々憶測してたし、可能性の話で盛り上がってたけど……。

 絶対そうだよね? だって、そしたら説明つくもん! きっと、雪村だけの体質なんだよ!」

「私もそう思います。大きい怪我はした事ないんですけど、昔木から落ちた時には、翌日にはほとんど治ってました」

「私は大きい怪我って、一度もした事ないんだよね〜。膝をすりむくくらい。だからその日のうちに消えちゃう」

「なんか、不思議ですよね。他の人にも、分けてあげたいです」

「うん、怪我がすぐ治る薬とかに出来たら、皆助かるよね。でも今も未来も無いってことは、

多分昔から、これからも秘密だからなんだと思う。生体実験の道具とかにされたらシャレにならないし」

「実験、ですか。それは困ります。痛そうだし怖いです」

「飲めば治るっていうんなら、山南さんにならちょっとあげてもいいかな〜。でも変な副作用が出たら困るし」

「変な副作用って?」

「おかまになっちゃう、とか? ほら、女の血だし。普通はないけど、変わった血だから」

「おかま!? プッ、ハハハ、山南さんがおかまだなんて! やめて下さい、想像しちゃったじゃないですか! フフフ」

「クスクス、ほんとだね、似合わない」

「飲んで治るなら、平助君にあげたかったなぁ。額の傷、かなり治るまで時間かかってたし」

「一途だねぇ〜、愛だよ、愛!」

「や、やめてください! 愛ってそんな……痛そうだったから、それだけですってば、もうっ!」


ん? てことは、平助がもし千鶴ちゃんの運命の人だとしたら、平助も祖先!? あれが?

……帰ったら鍛えよう、いい男に育てなきゃ守り甲斐ないわ。



「ヘェックシュッン!! ックシュ!! 風邪か?」

帰ったら受難が待っているとも知らず。平助は早々に床に就くことにした。





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