神様という存在が本当にいるだなんて思った事は一度もなかった。
だから、ぼんやりした意識の中で自称神様が自分の暇つぶしに付き合えとか言ってきた時は変な夢だとしか思わず、適当にいいですよーなんて答えてしまったのだ。
反則だと思う。
せめてもう少し意識がしっかりしてる時にしてくれ。
そうは願えど言ってしまった言葉はなかった事にできないもの。
私は神様の暇つぶしに付き合うという、とんでもない約束をしてしまった。
言質はちゃんと取ったからな!やっぱなしとかなしだかんな!とかいう俗世にまみれてるっぽい様子の神様の言葉へ何か反論する前に、神様は安心しろ、と笑いを含んだ声で言う。
それから一拍置いて、こう続けた。
忍たまで天女設定のトリップだぞ!モテモテで嬉しいだろ!ひゅー!と。

…忍たま、で、天女設定、で、トリップ…?
それは、それって、確実に…

「死亡フラグバリ立ちやないかーい!」
「いかに死なずに逆ハー補正を取り去るか!お前が目指すのはそこだ!」
「そこだ!ってどこだよ!恐ろしい夢だなマジで!」
「なんだ夢だと思ってんのか?うーん、まあいいか。とりあえず学園の外に出たら逆ハー補正は消えるってのだけ覚えておいてくれよ?」
「ただの逆ハーなら楽しい夢なのに天女設定とか聞いただけでぞっとするわ」

もっと自分が幸せになれる夢みろよ私!
ていうか神様が忍たまの世界に連れて行ってくれるよ!とか夢小説読みすぎだろバーロー!
やれやれ、天女扱いされて恐ろしい目を見る前に目覚めたいわ。

「ん?もう目覚めをお望みか?よーし、それじゃ頑張って俺を楽しませてくれよ!」
「はいはい、勝手に楽しんでれば?」
「ああ、そうさせてもらう。お前の登場シーン、やっぱ天女らしく派手にラピュタしとくからなー!」

飛行石とか持ってねえよ。
そこまで中二病患ってねえから!
若干口調を荒らしつつ文句を重ねようとした次の瞬間、私は即座に口を閉じた。
いや、閉じたっていうか、閉じざるを得ないっていうか…いやいやそんな事はどうでもよくて…え、これ落ちてない?

「ええええええ!?なんか、これっ、めっちゃラピュタしてるううううう!?」

ていうか私高所恐怖症!
こわいこわいこわいこわいこわい!!
むりむりむりむりむり!!!

「いやだあああああああああ!!!夢でもむりだからあああああああ!!!!!」

いやだから夢じゃないっつーの。
自称神様の笑い声がふわりと聞こえて、消えた。


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