四ノ宮 那月くんの場合


一応前回の続き。


ふぅ、さっきは酷い目にあった。
いやいや、さっきのは事故みたいなもので私はアレがはは、初チューだなんて認めないからな。

なんて頭の中をグルグルさせながら歩いてたら目の前に見知った金髪ふわふわ頭の後ろ姿が。
あれ何というデジャヴ。
だけど今度は飛びついたりなんかしないからね私だって学習するんだからね。
という訳で声をかけてみる。


「ななななな、なっちゃん?」


動揺しすぎて噛みすぎた。


「はい?どうかしましたかぁなまえちゃん?」

「なっちゃぁぁぁぁん!!」

「うわぁ。ビックリしましたよ」


良かった正真正銘なっちゃんだよ!!
もうあまりの嬉しさになっちゃんに飛びつく。
そんな私に驚きながらも受け止めいい子いい子してくれるなっちゃん。
いつもこうやってなっちゃんは私の頭撫でるけど別に嫌じゃない。
不思議と落ち着くしむしろ嬉しくなる。
やっぱりなっちゃんは天使だよ!!


「なまえちゃんどうかしたんですか?」


そこでなっちゃんに言われてふと気づく。
あっそうだったよ。なっちゃんのあまりの天使具合に忘れるとこだった。ふぅ危ない危ない。

「あのねなっちゃん。トリックオアトリート!!」


そこでなっちゃんも気づいたようであぁと頷きながらポケットから何か袋を取り出した。
だけど、うん。取り出したのはいいんだけど…

「なっちゃん、それって…」

「はい、クッキーです」


いや、それは見ればわかる。
違うんだよ、私が言いたいのはそういう事じゃなくてだね。


「それ、なっちゃんが作ったの?」

「すごいです、なまえちゃんよくわかりましたねぇ。正解です!」


いや、だって…
私が「それ」と呼んだ物体は最早クッキーじゃないもん。
だってクッキーそんな毒々しい色してないもん。
着色料無しにどうやってそんな鮮やかな色のクッキーが出来るのさ!!最早才能だよねある意味。
嬉しくない正解だよむしろ外れて欲しかったよちくしょう!!

なっちゃんもなっちゃんで、ものすごい笑顔でクッキー用意してるし。
笑顔自体はキラキラで本当に天使みたいなんだけど、なんだろ。
天使の皮被った悪魔に見えてくる不思議。


「わーい、うれしいな…」


はははと乾いた笑い声しか出てこないよ。


「そんななまえちゃんには特別ご褒美です。」


はいと、なっちゃんは袋からクッキーを1枚取り出し差し出してくる。
意味が分からなく首を傾げる私。


「あーん、です」


なんて笑顔で言うもんだから顔が一気に赤くなる。
なっちゃんのあーんとかもう幸せで死んでしまう。
これが美味しいお菓子だったらね。
いやなっちゃんのお菓子でも死んでしまうけど別の意味で。
でもなっちゃんがあーんしてくれるなら死んでもいいと決心して口を開く。


「あ、あーん…」


うわぁなっちゃんが食べさせてくれてる。
夢みたいだと思いながらも口の中に入ったクッキーを意を決してパクッと飲み込む。
……あれ、味は意外と普通?

そう思った瞬間なっちゃんの手が私の唇に伸びてきた。


「なまえちゃん、クッキーついてますよぉ」


そしてなっちゃんは私の唇についてたクッキーの食べ残しを自分の口元に持って行ったかと思うと食べてしまった。


「っ!なっちゃん!?」

「ふふふっ、なまえちゃんの味がして甘いです」


なっちゃんの台詞に私が顔を赤くするのと同時に、体全体を駆け巡る衝撃。
どうやらあのクッキーの味が遅れてやってきたようだった。
クラッときた私はそのまま意識を失ってしまった。




あぁ、あのクッキー食べたことちょっと…どころかだいぶ後悔したけど貴重な体験が出来たし何よりなっちゃんの笑顔が見れたからよしとします。


二度と食べたくはないけど!!






A.死にかけました(色んな意味で)





最強なっちゃん






121101





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