四ノ宮 砂月くんの場合


今日はハロウィンですよハロウィン!
って事でお菓子を貰いに突撃かましたいと思います。
なんて思ったら遠く見覚えのある人影発見!
うわ〜なまえちゃんツいてる!!
見えるのは後ろ姿だけどあの長身で動く金髪ふわふわ頭は1人しかいないはず。
ってことで迷わず…飛びつけぇぇぉ!!


「なっちゃぁぁぁぁん!!トリックオアトリー…」

「あぁ!?」

「ひっ…!!」



四ノ宮砂月があらわれた

たたかう →にげる

しかしまわりこまれてしまった


なんてドラクエ風に実況してる場合じゃないから!


「ぎゃぁぁぁぁ!!」

「うるせぇ。喚くな!!」

「いやいやいやいや、この状況で喚くな言う方が無理ですから。
砂月さんこの状況わかってますか」


今の私の状況を真面目に説明するならば後ろに壁、そして前にはさっちゃん、両脇はさっちゃんの腕によって挟まれるという構図で完璧に逃げ道を塞がれてしまっているんですよ。
これが今巷で人気だとかいう壁ドンというやつですか。
だれだよ萌えるって言った奴。
むしろ恐怖しか感じないよ。
冷や汗ダラダラものですよ。


「いきなりなまえが人の顔見て逃げ出すからだろうが」

「そりゃ天使なっちゃんだと思って飛びついた先が鬼のような形相をした砂月さんだったら誰でも逃げ出すかと…」

「あぁ!?」

「いえ何でもありません!!」


いや、だからその顔怖いんですって!!
うぅ、なっちゃんは好きだけどさっちゃんは怖いから苦手なんだよな…
よし、かくなる上は頭突きを繰り出してさっちゃんの顎にヒットさせればその隙に上手く逃げられ――


「おい」

「は、はい!?」

「なんか変な事考えてねぇよな?」

「なななな、何を仰いますですか…!?」

「いや、動揺しすぎだろ」


慌てて視線を逸らし俯く私。
ヤバいどうしてバレた。
さっちゃん何なの!?エスパーなの!?


「お前わかり易すぎ。顔に出てんだよ」


くっくっくと笑い声につられて顔を上げればそこにはいつもの怖い顔をしたさっちゃんはいなくて。
あぁ、こんな綺麗な顔で笑うんだ―――
そう思ったら視線が外せなくなって。

じっと見てる私に気づいたのか、こちらに視線を合わせるさっちゃん。


「そういやさっきトリックオアトリートって言おうとしてたよな。」

「あ、う、うん。今日はハロウィンだから…」


さっきまで怖くてうまく話せなかったのに今度は緊張してうまく話せてないぞ。どうしたんだ私。
相手はあのさっちゃんなんだから緊張なんて――


「いいぜ。とっておきの甘いのやるよ」


ふとさっちゃんがそう呟いたと思ったら目の前にさっちゃんの顔があって唇に感じる違和感。
え、今一体何が…

何が起こったかわからない私をよそにさっちゃんは笑顔で。


「ごちそーさん。中々の味だったろ?」


なんて舌なめずりをしながら言うもんだから。
私は顔を真っ赤にさせながらヘロヘロとその場にへたり込んでしまった。




「わ、私の初チュー返して下さい」

「奪われる方が悪いんだよばーか」





A.初チュー奪われました





強引さっちゃん





121029





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