死ね!バレンタインデー!
いつもはヒル魔以外は殆ど誰もこない、日差しが暖かい屋上。しかし、そこには今日、女子生徒がいた。
ヒル魔は気にせず屋上のベンチに座る。
少し離れたところに寝転がっている女子生徒が、ふと口を開いた。
「ねえ、蛭魔妖一くん」
「なんだ」
「バレンタインってホントクソだよね」
女子生徒は両手で顔を覆って言った。
ヒル魔は返事をせず、ノートパソコンを起動させた。脅迫手帳を取り出し、目の前の女子生徒。
みょうじなまえのページを探す。
「本当にさ、皆は菓子会社の政策に乗せられ過ぎているんだよ。バレンタインのせいで世の中の男が悲しむし。いいことなんてないよ」
ブツブツと愚痴る彼女のページを探し当てたヒル魔は、パッといつもの悪魔のような笑みを浮かべた。
「ケケケケケ!みょうじなまえ、カカオアレルギーか!」
そう言うと、なまえはヒル魔が喋るとは思っていなかったようで、ポカンと口を開けてヒル魔を見ていた。
そうして、5秒程遅れて頷いた。
「ニオイ嗅ぐだけで気分悪くなるし、もうこりゃ校内に入れないね。全く、本当にチョコレートとかバレンタインデーは滅びろ」
「ケケケ、じゃあブッ壊すか?」
「え?」
なまえはガバッと起き上がり、本日初めてヒル魔を見据えた。そして訝しげにヒル魔見つめて、首を傾げた。
「まさか、蛭魔妖一くんもチョコ嫌い?」
「糞甘味料全般吐き気がする」
ヒル魔がおえ、と吐くジェスチャーをして言うと、なまえはケラケラと笑った。
そして、ヒル魔がポン、とマシンガンを投げ渡した。なまえが座ったまま受け取る。そして立ち上がり、ヒル魔に手を差し出した。ヒル魔が手を取ると、なまえはガシャコ、とリロードする。
さて、どうやってバレンタインを壊そうか。
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