「ああああ!レッド兄様!」
「…………は?れ、レッド兄さまぁ?」


レッドくんの秘密の場所からの帰り道、次はあの有名なオーキド博士の研究所に行くことになって、その道で突然聞こえてきたレッドくんを呼ぶ、おかしい。うん大切なことだから2回言います、おかしい呼び名が聞こえてきた。具体的にいうと様付け。振り向くと、レッドくんに似た赤色の服に茶髪、赤い帽子をかぶった少年と彼によくにた青色とオレンジの服と茶髪で白い帽子の女の子がいた。男の子はレッドくんに向かってぶんぶんと手を振りながら笑顔でこちらに駆け寄ってくる。女の子のほうはそんな彼のあとをやれやれ、と言った様子でゆっくりとついてくる。
ぼくはレッドくんを見上げてみるけれど、レッドくんはため息をひとつ落とすだけで相変わらずの無口だった。


「っはあ、はあ……れ、レッド兄様会いたかったです!」
「…………うん、久しぶり。ファイア。あとリーフも」
「はっ僕としたことが挨拶を…!お久しぶりです、レッド兄様」
「おひさーレッド兄さん。あとごめんねー変な呼び方始めたファイアがうるさくて!」
「ファイアにリーフ……」


っていうとアレじゃないですか。もしや彼らはリメイク版のふたつのソフトの主人公、ファイヤレッドとリーフグリーンだったはず、つーくんが買ってたのをぼくはみてたよう。ぼくも貸してもらってたし。普通にレッドくんがいたからふたりの存在ははっきりいうといままで忘れてた。というかいないと思ってたのにまさかここでふたりが出てくるなんてかなり驚いてる。


「うるさいなあ、リーフ。兄さんへの溢れる尊敬と、お茶目が混ざっただけじゃんか」
「はいはい」
「う……レッド兄さんが旅に出てしまってからはなかなか会えず、チャンピオンに勝ったと聞いたあとからの消息は不明で!何回手紙をしたためたか……!」
「ファイアったら思いつめてレッド兄さんとおんなじように旅に出ようとすらしてたのよー。馬鹿ですよねえ」
「だって僕ももう11歳、レッド兄さんが旅に出た年と同じなんだぞ、リーフ!」
「はいはい。でもレッド兄さんがこうして帰ってきたんだからもう必要ないわよね?」
「うぐぐ…でも!」
「でもじゃないわよー。ねえレッド兄さんにそちらのお嬢さん?」
「……………」
「……ぼく?」
「はい。こんなファイアのことなんて置いといて、あたしはあなたの方が気になるわ!自己紹介が遅れたけどあたしはリーフでこっちはファイア。11歳で双子なの。お名前教えてもらってもいいかな?」
「あ、なに勝手に紹介してんだリーフ!」
「う、うんリーフちゃん。ぼくはミオ。レッドくんと同じ、14歳だよう」
「あたしたちより年上!ごめんなさいミオさん、同い年ぐらいだと思ってました」
「…うん…いーよ、慣れてるから。さっきみたいに話してくれて構わないし敬称なんてつけないで構わないから」
「そう?じゃあ遠慮なく」
「こらー!兄貴を無視するなよ、リーフ!」
「はあ?あたしがお姉ちゃんでしょう?」
「違う、僕に決まってんだろ。ですよね、兄さん」
「……わかんない」
「ほら、僕が上だって」
「………もういいわよ、あんたが上で」


ボンコレの最高血統よりもある意味やっかいな、お母さんから受け継いだ童顔遺伝子によるぼくの見た目と年の差に対するお決まりのやりとりをした。つまり小学生に見えていた、と。あっちでは制服を着てたからどんなに童顔遺伝子が素晴らしかろうが中学生には絶対見られたんだけど残念ながらこっちではそんなスーパーアイテムは作用してくれたなかったようで。
勢いをつけてレッドくんに向かって抱きついたファイアくんは輝きながら、レッドくんに話しかける。それにしても、ここまでの会話を聞いてるとファイアくんはずいぶんとレッドくんが大好きでテンションが高いなあ。言っちゃ悪いけどぼくからはリーフちゃんがお姉ちゃんにしか見えない。


「ああもう!またファイアのせいで話がズレた!ごめんなさい、ミオちゃん」
「ううん大丈夫だよー。それでふたりはレッドくんのことお兄さんって呼ぶってことはまさかレッドくんの兄弟………?」
「いいえ、いとこなの。でも小さいときからけっこういっぱい過ごしてきたし、見ての通りファイアは兄さんにべったりだから」
「たしかにべったりだねえ。見た目にも気持ちにも?」
「…………離れろ、ファイア」
「ええー」
「……それでミオちゃんはなんでレッド兄さんと一緒にいるの?あ!もしかして恋人同士!」
「残念、違いますよう。お世話になってるだけなのー」
「えー、つまんない!絶対そうだと思ってワクワクしてたのに」
「えー……?」
「おいこらリーフ!勘違いしたらレッド兄様に失礼だろ!こんなチビ!!」
「ち、チビぃいい!?」


なにを言ってるんだよ、ファイアくん!!ぼくはそんなチビじゃ………!!
身長高い順にレッドくん、ファイアくん……り、リーフちゃん……ぼく、だと…!?


「へ、平均身長の人に向かってなにを言うんだよっ」
「へんっチビにチビって言ってなにか問題が?平均ー?嘘っしょ」
「嘘じゃないよ!それにまだまだ伸びるのは確定してるんだから!君たちの発育が良すぎなんだよう!」
「それこそ平均だから。このチビ!」
「う、うう!このキャラ被り!」
「はあ!?」
「れ、レッドくんとかぶってて紛らわしいんだよっ。リスペクトしてたってもっと個性を出すべきだかんね!それじゃあただのショタだよう」
「しょ、ショタぁ〜!?く、いいんだよ!僕はレッド兄さんみたいになるんだからな!んでいつかはレッド兄さんと一緒に旅に出るんだ………うがっ?!なにすんだよ、リーフ!」
「んー!!…ぷはっ、れ、れレッドくん!苦しいんだよ!」
「はいはい、ちょっと落ち着きなさいファイア」
「……ミオ、ガキ」


チビは禁句だよ。こう見えて将来は160センチにまで伸びるんだから、まだ小さいけどチビじゃけして、ない!童顔でチビだったらどこぞのキャラクターみたいじゃないか。そんなのは勘弁なんだよう!
ぼくはべー、と舌をだして腕を張りながら。ファイアくんは威圧感を出そうとしてるように腕を組んで言い争ってるところで、ファイアくんはリーフちゃんに頬を思いっきりつままれて、ぼくはレッドくんに後ろから左手を抑えられて、口と鼻を覆われながら引き寄せられて、強制終了。


「レッド兄さん、いつまでこの町に?」
「……とりあえず明日ぐらい」
「じゃああとでまた訪ねます。この道ってことは博士のところですよね?」
「こらっなに勝手に決めてんだよ、リーフ!」
「うるさいショタ。こうでもしないとあんたまたミオちゃんと喧嘩するでしょ、あとにして」
「ちょっ兄貴に向かってショタとか………!」
「じゃあまた。兄さん、ミオちゃん」
「………………」
「うん、リーフちゃんまたね!ファイアくんはいいよう」
「こっちのセリフだ!!」
「ファイア?」
「すみませんでしたー!」


ふん、やっぱりファイアくんが上とかないなあとか思いながらふたりを見送っていたら、後ろのレッドくんにまだつかまれたままだったその手をふたりとは違う方向に引かれる。

「……………ミオ、行くぞ」
「あ、うん…」
「ガキンチョ」
「っ!か、髪絡まっちゃう!ぐちゃぐちゃにはしないでよう!」
「ガキンチョには丁度いい」
「ガキンチョじゃないからー!」
「しばらくミオにはそれで十分だから、ね」
「レッドくんの意地悪ー……」


ちょっと前にあった背中から隣に並ぶように小走りをしていたら、ぼくの髪をあいてる手でぐちゃぐちゃとかき回す。高い位置にあるレッドくんの顔を見上げるとすっごくいい笑顔をしてたからすっげえ楽しんでるよ、このひと!!


身長は平均いってますけどなにか?
(…いい雰囲気なのよねえ)(なにがだよ)(ショタにはまだ早いわよ)(ショタじゃねええ!)




 




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